認定医療法人とは?

市川 隆志

アドバイザリー

本年10月1日より、新たに、認定医療法人制度がスタートします。まず、認定医療法人とは、厚生労働大臣の認定を受けた経過措置医療法人をいいます。ここで、経過措置医療法人とは、平成19年3月31日以前に設立された医療法人です。これは、持分あり医療法人から、持分なし医療法人への移行を推進するために、平成26年度医療法・税制改正により、「相続税・贈与税の納税猶予・免除制度」と併せて、新たに創設されました。なぜ、持分が問題になるかというと、持分には、財産的価値があるので相続税の課税対象とされます。さらには、持分の帰属問題が未解決のまま相続が発生してしまうと、事業承継に影響を与えてしまいます。そこで、持分問題が未解決で相続を迎えても、相続人による解決手段を確保するために、相続税の申告期限(相続後10ヵ月以内)までに認定医療法人になることで、最長3年、相続・事業承継の解決(準備)期間を付与する制度が創設されたのです。
<3年の期間で解決する問題 ~相続人達で解決をする~>
1.すべての出資者との出資持分の放棄の調整(「あり」から「なし」へ)
2.「不当減少要件(相令33③、個別通達)」をクリアする
①運営組織を適正化 ②同族親族役員等を3分の1以下に(但し、この役員等には、「社員」は含まない)
③特別利益供与禁止をクリア ④残余財産の帰属先を国等へ ⑤法令違反等をしない、など
3.個別事情による問題解決(遺産分割など)※期限内申告は10ヶ月以内

なお、平成23年4月付の四病協・日医のアンケート調査によりますと、
1.「持分なし」に移行する意向があるかどうか?→病院の61.7%、診療所の91.8%が「ない」と回答。
2.病院経営者で移行を志向しない理由(上位3つ)
①出資持分はオーナーシップの源泉であり放棄できない。
②相続税を支払っても、医療法人を子孫に承継させたい。
③同族経営を維持したい。
各々の医療法人により、課題は異なるとは思いますが、このような新しい制度が創設された機会に、ご一考されることをお勧め致します。

コンサルティング部 部長

著者紹介

市川 隆志
医業経営コンサルティング部 部長

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