精神障害の労災請求件数が過去最多となる

森 𠮷隆

人事労務

厚生労働省は平成26年6月27日、平成25年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を発表しました。くも膜下出血や心筋梗塞等の脳・心臓疾患の労災認定件数は306件(前年度比32件減少)で、3年振りに減少したものの、3年連続で300件を超える結果となりました。(ちなみに請求件数は784件で、前年度比58件減の2年連続減少。)

その一方、うつ病等の精神障害については、請求件数が1,409件(前年度比152件増加)と過去最多を更新し、認定件数は436件(同39件減少)と4年振りに減少したものの、前年度(475件)に次ぐ2番目の高さとなっており、うち自殺(未遂を含む)が63件を占めています。

精神障害に関する申請が増加した背景として、厚生労働省担当者は、「仕事のストレスによるうつ病が増え、それによる精神障害が労災で認められることが認知されるようになったこと」を挙げています。精神障害の認定件数を業種別に見ると上位から、製造業(78件)、卸売業・小売業(65件)、医療・福祉(54件)、運輸・郵便業(45件)の順となっています。さらに引き金となった出来事で見てみると、「仕事内容・仕事量の変化」「いやがらせ、いじめ、暴行」(各55件)、がトップに並び、「悲惨な事故や災害の体験、目撃」(49件)、「病気・けが」(46件)、「月80時間以上の時間外労働」(34件)、「セクシャルハラスメント」(28件)、「上司とのトラブル」(17件)の順となっています。rousai

上記の結果から見てもわかるように、メンタルヘルス対策は勿論、発生原因であるパワハラ、セクハラ、過重労働等に関する対応策に関しても、企業側にとっては今後ますます重要性を帯びてくるものと思われます。

コンサルティング部 4課

著者紹介

森 𠮷隆
人事コンサルティング部 労務コンサル課 シニアコンサルタント
(特定社会保険労務士)

「WOWOW映画王選手権」2001年、2002年本戦連続優勝、2011年本選準決勝進出、2013年本戦準々決勝進出。2012年「スカパー!映画クイズ選手権」本選優勝。映画検定1級(2014年は首席合格)。

制作者の直近の記事

コラム一覧に戻る
お問い合わせ

PAGE TOP