【介護保険あれこれ】地域包括ケアシステム・・・地域で支える仕組みづくり②
長 幸美
アドバイザリー前回、「地域で支える仕組みを作るのが地域包括ケアシステム」であり「地域をどうするのか?を検討する場が地域ケア会議」であること、また、地域ケアシステムを構築することは地域のコミュニティを創造・活性化することであり、「地域包括支援センター」が主導して仕組みを作っていくことが必要であるという事をお話ししてまいりました。
今回は、地域での取り組み事例をいくつかご紹介しながら、どのようにして「地域コミュニティを創造・活性化していくのか?」という部分に焦点をあて、「総合事業」と「生活支援サービス」を考えていきたいと思います。
今年4月の介護報酬改正において、「予防訪問介護」「予防通所介護」は介護給付から外され、新たなサービス類型に振り分けられることになりました。
総合事業は「地域包括支援センター」による「介護予防ケアマネジメント」に基づき行われるものとされています。
市町村では65歳以上の高齢者へ「基本チェックリスト」が送付されています。
この「基本チェックリスト」に基づき、利用を判断されることになっています。
チェックリストは25項目です。その結果に基づいて要介護申請が必要か、介護予防・生活支援サービス事業の対象となるか、フローチャートが作成されております。
総合事業が始まったときの報酬はどうなるのでしょうか?
生活支援・介護予防は、高齢者が住みなれた地域で生活し続けるために必要な「地域包括ケアシステム」の基本となるものです。つまり、地域の住民が主体となって、自らが担い手となっていくような地域づくりが必要であると言われています。
厚労省発表の資料の中で、3事例紹介します。
(詳しい内容は下記「厚労省発表の好事例集」をご参照ください)
<長崎県佐々町の事例>
※「できないことのお手伝い」ではなく「できていることの継続」「改善可能なことを増やす」支援により高齢者の自立度向上
・高齢者を含む「介護予防ボランティア養成研修」を受けた地域住民が、「はつらつ体操」「水中運動教室」「男性料理教室」などの通いの場を作る。
⇒介護予防ボランティアの活躍の場と生きがい支援
・日常生活上の支援⇒シルバー人材センター、介護予防ボランティア
・地域デイサービスや地区の介護予防活動の開催⇒要支援から改善しても通える場
<山梨県北杜市の事例>
※直営の地域包括支援センターが中心となって地域づくりを推進。高齢者の外出が少ない、交流の場がないという問題を明確化、地域関係機関との情報交換を行いつつ、多様な通いの場づくり・ボランティア活動等を促進。
・通所型予防サービス・・・地域の人が誰でも、気軽に立ち寄れる場所
・生活支援サービス(安心お届けサービス)・・・配食+安否確認、
・介護予防事業・・・生き生き運動教室、筋力元気あっぷ事業、ふれあい広場など
<岡山県総社市の事例>
※元気な高齢者と要支援・要介護認定を受けている高齢者が一緒に行う住民運営の体操の集いが、公民館や個人宅で毎週1回開催されている。平成25年までに市内全域に111会場が誕生。
・小学校区単位で「小地域ケア会議」を開催・・・住民・社協・ケアマネ・保険者の情報交換の場として定着
他に、認知症のデイサービスと保育所の融合やサービス付き高齢者向け住宅とカルチャースクールとお子さんの一時預りサービスなど様々な取組が始まっています。複合施設でのケアサービスを行っている事業所も時々テレビで紹介されるようになって来ました。
また、生活支援サービスでは、公営団地の自治会が中心になり「安否確認」のための定期訪問や集会所での健康体操や井戸端会議が出来るように「カフェ」を運営するなどの取組が始まっています。買い物の宅配サービスのついでに「電球交換」をしたり、「時計の電池交換」をしたり、5分程度の簡単なサービスを提供するお店も出てきているようです。
まさしく「向こう三軒両隣」のお付き合いのように思います。
それぞれの地域で、それぞれに「お困りごと」は違っていると思います。地域包括支援センターが中心となりながら、「地域ケア個別会議」の中で「困った」事例を持ち寄り、そこから地域の住民も含めたところで、どのようにして地域を支えるか?を「地域ケア推進会議」の中で考えていく、そこには医療・介護の現場だけではなく、地域の住民、行政、企業が一緒になって何が出来るのかを考えて実行(行動)していくことが必要になってくると思います。
これを機会に「わが町」を考えてみては如何でしょうか?
<厚労省発表:好事例集>
事例を通じて、我がまちの地域包括ケアを考えよう 「地域包括ケアシステム」事例集成
~できること探しの素材集~
経営コンサルティング部
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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