消費税の経過措置には、色々あります
光保 則子
税務・会計いよいよ消費税の経過措置の基準日となる 指定日(10月1日) が、近づいてきました。一部報道では、秋以降に税率引き上げの最終判断をするとありますが、経過措置については、その前に、注意しなければならないことがあります。
平成26年4月1日(施行日)以後に行われる取引については、新税率(8%)が適用されます(平成27年10月1日以後は、10%)。ただし、一部の取引については、旧税率(5%)を適用することができます。この取扱いを経過措置といいます。
代表的なものに、家屋の建築があります。指定日の前日、つまり9月30日までに契約をした工事については、その契約内容に限り、着手日、完成日が施行日以後になっても、旧税率のままになります。ただし、指定日以後に金額が増額された場合、その超える部分の金額については、適用されません。
どの種類の経過措置も、この 半年前 が重要なポイントになります。
その他、リース取引については、勘違いしやすいので、整理しておきましょう。
リース会計基準の公表により平成20年4月1日以降に契約をした所有権移転外ファイナンスリースについては、原則として、売買処理に統一することとされました。しかし、リース会計基準が強制されない中小企業については、従来どおり、賃貸借処理が認められています。消費税の世界でも、リース資産の引渡しを受けた日に一括控除することを原則としつつ、賃貸借処理をした場合には、支払の都度、分割控除を選択することが認められます。したがって、平成26年3月31日までに引渡しを受けたリース資産については、たとえ、指定日以後に契約を締結し、分割控除を採用した場合であっても、リース期間が終了するまでは、すべて旧税率が適用されることになるのです。売買なので、経過措置の適用除外ということです。通常のリースの場合とは異なるので、注意が必要です。
財務コンサルティング部 第一部 税理士
著者紹介
- 税務会計コンサルティング部 審理室 室長
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