【医療・介護あれこれ】地域医療構想を踏まえた診療報酬改定の動向③ 『平成26年度診療報酬改定の振り返り』
長 幸美
アドバイザリー今回は平成28年度診療報酬改定に向けて、前回の診療報酬改定について振り返ってみましょう。
皆さんご存知の通り、平成24年2月17日に「社会保障・税一体改革大綱」が閣議決定されました。平成30年まではこの大綱に沿った方針で改革が進められていくことが決められています。(参考資料添付)
この中で、「どこに住んでいても、その人にとって適切な医療・介護サービスが受けられる社会の実現」というものが掲げられて、「地域包括ケアシステムの構築」を行う事が明記されています。
厚生労働省「地域包括ケア」
この中で、重要な課題として「住まい」が上げられて、「サービス付き高齢者向け住宅」など、一般企業からの参入も多くなってきています。ここでは「外付けのサービスでどこまで対応ができるのか」が議論となり、多額の自己負担が必要な事例が出ているようにも聴いています。また、小規模多機能型サービス(通い・泊まり・訪問の機能が一体化したサービス)に訪問看護が付いたサービスも出てきています。
では、平成26年度診療報酬改定における「重点課題」への対応は如何だったでしょうか?
◆「社会保障審議会」の基本方針は「医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等」です。重点課題としては、下記項目が挙げられていました。
1.入院医療について
①高度急性期と一般急性期を担う病床の機能分化
②長期療養患者の受け皿の確保等について
③急性期後・回復期の病床の充実と機能に応じた評価
④医療提供しているが、医療資源の少ない地域に配慮した評価
⑤有床診療所の機能に着目した評価
2.外来医療の機能分化・連携の推進について
3.在宅医療を担う医療機関の確保と質の高い在宅医療の推進について
4.医療機関相互の連携や医療・介護の連携の評価について
上記②の「長期療養患者の受け皿の確保等」は、充分ではないと考えられていますし、現状の療養型病床には、様々な事情で自宅へ帰ることができない入院患者を受け入れているという現状があります。
また、上記2.「外来医療の機能分化・連携の推進について」は、「24時間対応の調剤薬局」が非常に少なく、進んでいないのが現状です。これは、自宅を訪問し薬剤の服薬確認を行うのは、訪問介護や訪問看護のスタッフで、現状では、薬剤師の確保が困難なため、対応ができていないという状況があるのではないでしょうか。
さらに、「在宅医療を担う医療機関の確保と質の高い在宅医療の推進について」は、「地域包括ケアシステム」を実現するうえで、大変重要で、次期改正の目玉となるのではないかといわれております。
また、様々な付帯意見がありましたが、平成28年度の改定への課題として、以下の15項目が挙げられておりました。
忘れてはいけないことは、在宅医療を考える中で、「看取り」をどのようにしていくのか?ということだと思います。今後の生活の場所を調査したアンケートの結果では「自宅で・・・」と考えている方が非常に多く、第1位だったということでした。しかし現状ではどうでしょうか? 非常に難しいと思います。
現在までに、平成26年度の診療報酬改定による影響などを調査されていて、そのデータも参考の材料となり、これから、次回の改定の細かなことが決められていくと思います。
これに、今年の介護報酬改定、3年後の同時改定への方向、地域医療構想を重ね合わせると、次期診療報酬改定の方向がどう動いていくのか・・・少し見えてきますね。
<参考資料>(クリックすると別ページが開きます)
■社会保障・税一体改革大綱 (平成24年2月17日閣議決定)
■平成26年度診療報酬改定の概要 (厚労省20140415版)
経営コンサルティング部
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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