万能な「一般法人」を利用しよう

佐々木総研

税務・会計

この4月から「一般社団法人」や「公益社団法人」という団体の看板や広告を見掛ける機会が増えたことにお気づきの方もいらっしゃると思います。これは平成20年の法律改正で、これまで何かと問題の多かった旧来の「社団法人」「財団法人」の公益法人制度を抜本的に見直し、事業内容の整理・財務状況のチェック等の行政による審査を経て認定・認可を受けた新しい法人形態です。ちなみに、「落語協会」(柳家小三治会長)は一般社団法人、「落語芸術協会」(桂歌丸会長)は公益社団法人となっているようです。(「公益法人」の方がブランド力は高いのでしょうか??)

「一般社団法人」の制度導入は、旧来の公益法人からの移行に加え、より大きなインパクトとして、新しく事業を起こそうという場合に、とても便利で使い勝手がよい法人形態であることが注目されています。基本的には非営利法人ですので利益の配当はできませんが、資本金は不要であり、法に反しない限り事業内容に制限がなく、登記のみで設立可能なので、定款自治型の万能法人と呼ばれることもあります。(但し、法人活動の自由度を担保する仕組みとして、役員の責任が会社法同様に厳しくなっています。)

実際に、青森県で存続の危機に瀕しているりんご農家支援と農地保全を目的に消費者の支援を募る一般社団法人を運営する例、「古材」の再利用を促進することで環境エコビジネスを行なう企業グループが、営利追求と社会公共性の両立を図るため、CSR(企業の社会的責任)を担い共通のミッションを徹底させる組織としてユニークな一般社団法人を運営する例が既に出ています。

このように、既存の固定観念にとらわれず、多様な可能性が期待できる万能型「一般法人」の利用は未だ緒に就いたばかりで、法人設計、会計・税務の問題は専門家の助けが必要ですが、新規事業拡大への皆様の斬新なアイデアを具体化するチャンスかも知れません。

財務コンサルティング部 第三部 公認会計士

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