【医療・介護あれこれ】地域医療構想を踏まえた診療報酬改定の動向④『急性期医療改定について』

長 幸美

アドバイザリー

前回、平成26年度診療報酬改定の振り返りを行いましたが、もう少し具体的に急性期医療、地域包括ケアを含んだ回復期医療、慢性期医療について考えてみたいと思います。

今回は「急性期医療について」です。

平成26年度診療報酬改定における改定の中で「7対1入院基本料」について見直しが行われました。しかし、厚労省が考えていたほどに病床数が減ることはなかったため、次期改定ではさらに施設基準が厳しくなることが予測されています。
急性期
急性期医療に関しては、看護必要度や看護師の割合など「維持できる」ことを理由に約8割が施設基準を維持しています。
そこには、本来の「緊急手術を必要とする救急医療」の実態がどのくらいあてはまるのか・・・レセプトデータ(NDB)とDPCデータにより病院の診療内容や病態が、集積されているため、ごまかすことはできないということも意識する必要があるでしょう。
本来の病院の姿をどのように考えるのか・・・が重要になってくると思います。

では、医療度の高い「救急医療の患者」をどこで判断していくのでしょうか?この物差しとしての「重症度、医療・看護必要度」というスケールです。これは、来年度の診療報酬改正において大きく変わることが予測されています。また、医療機関において、一定以上の精度で評価されているのか、担保するためにはどうしたらよいのかという事が注目されています。

A項目の中に、心電図モニターをなくし、「輸血や凝固系の疾患、ICU・HCU等の評価項目」「認知症の評価」をいれ、医師の指示の見直しの頻度がどの程度かということを評価の対象に入れてはどうかという話が出ています。これは、A項目の評価がより多い医療機関の方が手術等の実績値が多かったという統計上の分析結果によります。
一方、認知症の中で、「診療上の指示が通じる」「他者への意思の伝達」「危険行為」の度合いについて、7対1の病棟では評価されない項目ではありますが、相対的に危険度が高かったことがわかり、評価に加える必要があるのではないかということが、挙げられております。また、認知症の有無に関しては、B項目の評価対象に検討されています。
見直しの項目としては、「寝返り」「起き上がり」「座位の保持」が検討課題に挙げられ、「一般病棟用」「ハイケアユニット用」「特定集中治療室用」の項目を統一させることも検討されています。

また、この中では、「評価者のレベルの均一化」が図られていないことも課題とされており、院内の研修の充実と、理解度の確認を検討されているとともに、専門的な要素が高い項目に関しては「薬剤師」「理学療法士・作業療法士」「歯科衛生士」「管理栄養士」等の専門家が判断できるように評価者の充実を図っていくことも検討をされています。

また、「DPCデータ」の提出状況については、データの提出状況が、「7対1入院基本料」「地域包括ケア病床」では7割を超えた病床が提出しているのに比べて、「10対1入院基本料」「回復期リハビリテーション病床」「療養病床」では4割を大きく割り込んでいることも問題視されており、今後一般病床に関しては「必須要件化」を検討されています。
このことにより、「診療情報管理室」の設置と「病歴管理」をどのようにしていくのかが大きな課題となってくると思われます。

また、短期滞在手術基本料3の見直しも行われる予定です。患者の手術に関して、包括外にするなどの見直しが検討されている反面、「経皮的シャント拡張術・血栓除去術」「体外衝撃波腎・尿管結石破砕術」「ガンマナイフによる定位放射線治療」等に関しては、2~3日の入院で済むケースが多いため検討していくとのこと。今後の動向に注目していきましょう。

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著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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