【医療介護あれこれ】平成28年度診療報酬改定~『治し、支える医療へ』~
長 幸美
アドバイザリー1月13日に厚生労働省から、中央社会保険医療協議会へ諮問書が出されました。
これから2月半ばの答申に向けて細かな審議が本格化していくことになります。
年末に今までの審議内容を速報としてお知らせしておりましたが、諮問書が出されたこの時期に、改めて方向性を考えてみたいと思います。
今回の改定については、前回平成26年度診療報酬改定後の調査、財務省・内閣府から出される意見や、地域医療構想を検討する中で、改定が進められてきました。これは超高齢社会における政策が基本的な方向性となっており、地域包括ケアシステムと効果的・効率的な質の高い医療提供体制の構築が必要であるとされています。
平成30年の診療報酬・介護報酬の同時改定を見据えた改定である事は、皆さんご承知の通りでございます。
病床機能報告をもとに各二次医療圏では現在、今年の8月に向けて『地域医療構想』の策定が行われています。福岡県では昨年11月の医療審議会の方針を受けて、地域医療構想策定後にその結果を踏まえて病床の変更が必要になるため、現時点での『病床の区分変更を凍結する』という判断が下されています。これから病床編成を考えようとされている病院様にとっては、誠に厳しい状況に立たされているともいえますが、『改定の時期に自院の機能や状況を検討する良い時間を得た』と切り替えて考えてみては如何でしょうか?
地域に住まう高齢者の生活を支えるためには何が必要か?
医療機関として、我々が提供できるものは何か?
現在の医療機関における機能で、地域を支えていくことができているのか?
地域が必要としている医療ニーズは何か?
その医療ニーズに答えて行くことができているのか?
医療を志した背景は様々なものがあると思います。けれどその根幹には、『良い医療を提供して、病気を治してあげたい』という思いが根底にあるのではないでしょうか?
そういった中で、医療技術は格段に進化し、高度に専門分化していきました。
今回標題にある様に、高齢化の進展に伴い「疾病構造が変化」していくなかで、「治す医療から、治し支える医療へ」転換が求められています。つまり、医療者として、『生活を支える』ことも必要になるということです。
では、『支える』とはどのような意味があるのでしょうか?
『ある状態が崩れないように持ちこたえる、維持する』『何かをあてがって抑える』『支援する』という意味があります。
つまり、医療者が、『寄り添い支援する』ことが必要なのでしょう。
専門分化して高度な技術等が必要になる一方で、生活の中で寄り添い、支援していく医療がある・・・地域の中で、どのような医療が必要なのか、考えてみませんか?
少し診療報酬改定とは離れたように感じるかも知れませんが、もう一度『原点に立ち返り、医療者としての思いを考えてみる』こと、そこから見えてくる医療機関のあり方を見直し、軸足をどこに下ろして、どの方向に向かっていくのか・・・目先の改定だけではなく、しっかりと『自院のカラー(特徴)』を見つめていくことも必要なのではないかな・・・と思います。
そして、方向を決めたら、どうすればよいのかを考えていきましょう!
<参考資料:クリックするとPDFが開きます>
○平成28年度診療報酬改定について(諮問)
○これまでの議論の整理(現時点の骨子)
経営コンサルティング部
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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