【医療介護あれこれ】今後の療養型病床の在り方について
長 幸美
アドバイザリー1月15日に保険局にて『介護療養病床の在り方について』審議が行われています。
介護療養病床については、平成18年の医療制度改革により医療・介護ともに見直しが行われ、平成23年度末に廃止することとされてきましたが、相次ぐ廃止の延期があり、今回の改定でも『廃止が中止された』のではないかと、一部の声が聞こえてきます。
そこで今回はこの審議会の資料を少し紐解いてみたいと思います。
療養病床の背景としては、老人医療の無料化がもとでいわゆる老人病院・・・つまり『施設代わりの病院』が増加し、『社会的入院』が社会問題になってきました。そこで、介護療養病床が創設され、主として長期にわたり療養を必要とする要介護者に対して医学的管理、介護などを行う病床として位置づけられていました。
しかし、平成18年度の医療保険制度改革/診療報酬・介護報酬同時改定において、医療の必要性の高い患者と低い患者が同程度混在して、患者の状態としてはあまり変わりがないことが実態として明らかになり、医療保険と介護保険の役割分担が課題とされ、療養型病床群の役割分担、医療費適正化の議論が行われました。この時に、患者の状態に応じた療養病床の再編成を行うことが決められ、老健施設等への転換促進と平成23年度末で介護病床は廃止されることが決められたこと、その時に転換型老健に高い評価が付けられ、誘導され、移行について補助金が出たことも記憶しています。
また、同時にADL区分による評価が導入され、患者の状態に応じた評価配分を行うことは、現在の医療の役割分担・急性期病床の役割の明確化へもつながってきています。
このような背景がありましたが、平成23年度時点では、病床転換等が進んでいなかったために、平成29年度末までの廃止の延期が決められ、介護病床は廃止されることになっています。『医療療養型』又は『地域包括ケア病床』への転換、を考えていらっしゃる病院にとっては『人員配置の問題』が大きくなってくると思います。
また、現在25対1の基準を取得している病院にとっては、平成30年度までに20対1の基準にあげていくことも必要です。今回の改定ではさらに『患者の状態』『ADL区分』の見直しも行われることとなっており、さらに状況が厳しくなることが予測されます。
病院は『生活する場』ではありません。医療を提供する場です。
医療機関が提供する医療は、『急性期』をはじめ、『回復期』や『慢性期医療』、『在宅医療』など実にさまざまに区分され、明確に役割分担を行おうとされています。
院長先生はじめ、医療機関として『どのような思いで、どのような医療を行うのか』『自医療機関のカラー(特徴)をどう出していくのか』を十分に意見交換して、地域の状況分析・評価を行い、方向性を見定め『軸足をどこに置くのか』を、この改定をよい機会ととらえ、大いに話し合い、検討していくことが必要だと思います。
そして、地域に近い医療機関・・・『診療所』『有床診療所』『200床未満の病院』は地域の状況をしっかり見つめて、地域を支えることができるように検討していくことが必要ではないか・・・と思っています。
あるセミナーに行ったときに日本慢性期医療協会の武久先生が、「急性期医療が十分に機能するためにも、慢性期医療が必要である」ということをおっしゃっていました。
現状の分析では、特別養護老人ホームや老健で『介護療養病床』よりも重度な患者さんを受けているという事実があることに疑問を呈しておられる方もあります。それは、入院患者を確保しておくためだけではなく、『地域の中で生活を支える』という地域包括ケアシステムにもつながることではないかと感じています。
<参考資料:クリックするとPDFが開きます>
〇療養病床・慢性期医療の在り方の検討に向けて
~サービス提供体制の新たな選択肢の整理案について~
〇参考資料1
〇参考資料2
経営コンサルティング部
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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