【医療介護あれこれ】診療報酬改定で考えること・・・機能別改定のポイント①
長 幸美
アドバイザリー三月も半ばとなりました。各地で診療報酬改定セミナーが開催され、私も日本医師会主催の説明会に参加してきました。
今回の改定のポイントは4つあります。
① 地域包括ケアシステムの推進・構築していくこと
② 病床の機能分化・連携の促進
③ 多職種の活用による「チーム医療の評価」「勤務環境の改善」
④ 質の高い「在宅医療・訪問看護」の確保
これらのポイントを整理してみると・・・「連携」がキーワードとなる改定であり、単年度で終わる事はなく、2025年へ続く改定であるということもわかると思います。
地域を支えるためには、「地域包括ケアシステム」をしっかりと定着させ、医療・介護・その地域の方々と連携を取りながら高齢者を支えていくことがとても重要になるということへのメッセージだと思います。このために、厚労省の医療課の方の説明では「地域で頑張っている医療機関をどう支援していくか」ということも課題であると言われていました。
では、今回の各診療所の先生方の視点からみた改定はどのようなものでしょうか?
「入院医療の機能分化・強化」
それぞれの入院機能・特定入院料が充分にその機能を果たしているか?という事が議論されてきました。この「機能分化・強化」を考えることは病床再編を意味していると思います。それぞれの病院様で、病棟の機能の評価と共に、患者様の状態の評価をして、どのような方向性でどこに軸足を置いていくのか、考えるときにきているようです。
ICU・急性期(7対1)では、救命救急等の機能が充分に果たせているか?ということが課題で、「重症度、医療・介護必要度評価」の見直しが行われています。また、急性期の勤務負担は医師をはじめ看護師も大きなものがあり、手厚い夜間配置や多職種の協業により勤務負担軽減を図ることが明確に打ち出されてきています。短時間の勤務など、働きかたの多様化も進んでくると思います。
また、急性期の病院では入院中にあらかじめ指定したセラピストが病棟内で勤務し、ADLの低下を防ぐ活動をしたことに対し「ADL維持向上等体制加算」がつきます。退院後を見越した対応が迫られているように思います。
地域包括ケア病床は、幅広い患者の受入が課題になるのではないかと思います。ポストアキュート及びサブアキュートの受入や、在宅生活の支援として「レスパイト」や「緩和ケア」の受入なども含まれてきます。
また、回復期リハビリテーション病床では「アウトカム」の評価が出され、一定以上の効果が出ることが必要となります。このため、4月1日から入院時に評価を行う必要が出てきました。それと同時に、アウトカム評価の除外に該当するかどうかの判定も必要で、この判定は後日変更することはできません。また、リハビリについては、「維持期」「生活期」のリハビリテーションとして、それぞれの役割が明確化されています。
療養病床については、25対1の病床群にも医療区分の考え方が入り医療度の高い方を受け入れることが評価されるようになりました。介護病床の廃止を2年後に控えて、急性期から患者を受け入れ、在宅へ帰るためのサポート機能が明確になりました。平成30年3月末までは看護配置と共に満たせない場合は95%の算定で請求することになります。そうかといって、自宅へ帰れない方もあると思いますので、病床をどのように利用するか、その役割を考えていく必要が出てきます。
出典:2016年3月4日 厚生労働省保健局医療課長 宮嵜雅則 平成28年度診療報酬改定の概要 P6
「退院支援の充実」
急性期の病床だけではなく、療養型、精神科病床へも「在宅へ戻す」ことに対し、高い評価がついています。いかに介護事業所や地域の医療機関(クリニック)と共に情報を共有し、生活を支援していくことができるか、その取組は「入院時」から始まっていきます。
この「退院支援」にとってのポイントは3つあります。
① 病棟への退院支援職員の配置
⇒あらかじめ決めておくこと
② 早い時期からの対応
⇒退院困難者を入院3日以内に抽出し、7日以内に家族と面談する
③ 医療機関の顔の見える連携の構築
⇒あらかじめ連携先と顔を合わせてコミュニケーションを取る
そして、退院前後の医療機関スタッフや医師による訪問についても、評価があり全面的に支援する体制を作ることが求められています。
出典:2016年3月4日 厚生労働省保健局医療課 平成28年度診療報酬改定の概要 P42
<参考資料>
〇平成28年度診療報酬改定の概要(3月4日説明会資料)
〇平成28年度診療法主改定の概要(厚生労働省保険局医療課 宮嵜雅則医療課長)
経営コンサルティング部
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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