【医療介護あれこれ】診療報酬改定で考えること・・・機能別改定のポイント①-2
長 幸美
アドバイザリー前回までの記事はこちら
「在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所」
200床未満の病院及び診療所にとっては、地域の中で医療を中心にして生活を守っていくという役割があります。このため、急性期の病院はもとより、地域の介護事業所、特に居宅介護支援事業所との連携が重要になってきます。また、急性期病床に入院された地域の方の退院に際し、いかにスムーズに自宅での生活へ移行していくのかは先生方と地域の介護事業・福祉事業との連携や情報共有等が大きく影響してくることと思います。
このため、退院直後の訪問診療や訪問看護が高く評価されてきました。
また、外来の機能分化については、大病院と中小の病院の立ち位置が明確になってきました。
一言で言うと、地域を支えるのは中小の病院と診療所、大病院はその地域を支えている医療機関の支援を行うことと急性期医療を行うことが明確化されています。そういった意味では、診療所の先生方の役割は大きくなっていると思います。
また、訪問診療と施設入居時医学総合管理料では、同一建物の考え方が変わります。
訪問診療では、施設入居の103点がなくなりました。
特定施設の考え方が変更となり、「施設入居時医学総合管理料」と名称も変更となりました。対象施設にサービス付き高齢者向け住宅も加わるなど、確認が必要です。点数も、患者様の重症度と場所により分かれてきていますので、確認をしてください。
出典:2016年3月4日 厚生労働省保健局医療課 平成28年度診療報酬改定の概要 P49・P50
「整形外科・リハビリテーション科」
リハビリテーションの役割の見直しが行われているように思います。
運動機能に対するリハビリテーションも急性期のリハビリとしての役割よりも、「生活機能」を維持し、失われた機能を補完して社会的な生活を送るための工夫や長く過ごすため、生活レベルを低下させない工夫が必要になります。
これからのリハビリテーションは、急性期のリハビリは入院中に、外来でのリハビリは集団療法やどのような生活を望んでいくのかにより運動や機能維持を支援するためのコーディネート的な役割も出てくるのではないかと思います。このため、病院やクリニックの中で行うリハビリよりも、自宅へ伺い、その生活機能を評価して個別に合わせた支援をしていくことが必要になるのではないかと思います。
介護事業を行わない場合の減額や標準日程の1/3を経過するときまでに「移行について見直し」をしない場合などにリハビリ点数が減算されるなど、厳しいものになっていますが、全て、冒頭にお話しした「生活機能を維持」し「自宅で長く過ごすための工夫」を行っているのかどうかの評価と考えられます。
このように、訪問リハビリやデイケア(通所リハビリテーション)により、医療機関としてのリハビリも役割が変化してくると同時に、セラピスト(専門職)の役割も変化しています。柔軟に変化に対応することも必要です。
「透析」
人工腎臓に関しては、20点の減算になっていますが、下肢の末梢動脈疾患指導加算がつき、導入を遅らせるだけではなく、導入後の悪化防止に取り組むことが評価されています。これは自医療機関だけではなく、他の医療機関との連携で施設基準の届出もできるようになります。
このように今回の改定ではいかに地域の中の医療資源を「連携」することにより活かしていくことができるかが、大きなポイントとなってきます。
<参考資料>
〇平成28年度診療報酬改定の概要(3月4日説明会資料)
〇平成28年度診療法主改定の概要(厚生労働省保険局医療課 宮嵜雅則医療課長)
経営コンサルティング部
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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