【医療介護あれこれ】医療介護連携の基本~情報の共有と地域連携~

長 幸美

アドバイザリー

平成28年診療報酬改定において、「治し支える」ということがキーワードになっています。つまり、地域の中で「生活をし続けるために」どのような支援が必要かを考える、ということが大事になってきていると思います。

では、私たち医療機関や介護事業所に求められていることはどのようなことでしょうか?

地域医療を考えていく中では、医療と介護それぞれに持っている情報を共有することが非常に重要になってきます。このため、各地で様々な工夫をされています。

独立行政法人国立長寿医療研究センターから平成25年12月に発行された「在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック」の中で、様々な地域の中で、連携のために工夫をされている事例がたくさん紹介されています。(※参考資料参照)

私が、病院勤務をしていた時に地域の医師会を中心に「在宅医療のための連携メーリングリスト」を作成し、クリニック支援をしていこうとしたことがあります。「情報を共有していく」ことが大きな目的の一つでしたが、その中では「地域医療コーディネーター」といわれる「ヒト」を育成し、クリニックの先生方の「後方支援」をしていくことをお話ししていました。しかしながら、その中では「介護」というところまでの連携のお話や情報共有のお話は出ていませんでした。何かあったときの支援は、「病院に入院させる」ということや、緊急時対応を訪問看護で受け入れるということが主だったように記憶しています。

けれど、「生活し続ける」という観点から言うと、夜間の発熱等のトラブル時の対処方法であったり、嚥下状態の把握や口腔ケアを通して「口から食べる」ということに視点を当てたり、高齢者をはじめ「支援が必要な方」を生活の中で支援していくことが必要になってきます。地域の人口動態や医療・介護の提供体制によっても違ってくると思います。

私の子供時代(ん十年前)は、子供が生まれた、小学校に上がった、就職した、結婚した、お父さんが病気になった、おじいさんが慶寿を迎えた、おばあさんがなくなった、などなど・・・。各家庭でのイベントが地域の中で共有され、何かにつけて人が出入りし、お祝い事もお悔やみ事も、支えあっていたように思います。どこで遊んでいても、声をかけられ、悪いことをすれば叱られていました。考えてみれば、隣近所で「繋がりあって」家族のように生活していたように思います。両親は忙しくしていましたが、家の中で一人孤立することもなく、隣近所の高齢者も、何かと外に出てきていて、遊んだり話を聴いてもらったりと、ひきこもることも少なかったように思います。
今は、関係性がとても希薄になってなかなかそのようなわけにはいかなくなってきました。「隣は何をするひとぞ・・・」と、無関心にも近い状況があり、ある意味、「高齢者が集まる場」を論じなければならない、「子育て支援」について論じなければならないというのは、悲しいことだと思っています。

しかし、現実の問題としては難しく、地域医療構想の中では、地域の医療機能も確保したうえで、病気があっても、障害があっても、高齢者も、働く人も、子供も「地域の中での暮らしを支える」ということを、「地域の中」で考える仕組みを作っていくことが必要だということが、議論されています。皆さん、これって実は、「新しく地域を作っていく」こと・・・新たにコミュニティを作っていくことだと思いませんか?

こういった中で、「地域連携室」の役割が拡大し、重要視されてきています。
活躍の場は無限大!! どのように地域の状況を把握していくか(ニーズの把握)、病院の理念や方針をどのように具現化していくか(行動の具体化)、地域の中へどのように伝えていくか(広報活動・地域連携の強化)、・・・ということが、とても重要になってくるように思います。

医療機関の職員である皆さん♪
皆さんが地域の中で何をしますか? どのような役割があるのでしょうか?
さあ! 次のステージに向かって、一歩踏み出してみませんか?!

 

<参考資料>

経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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