【医療介護あれこれ】高齢者の交通事故について思うこと
長 幸美
アドバイザリー樹の銀杏の木が色づき、はらはらと散る落ち葉の黄色いじゅうたんをあちこちに見る季節になりました。
今年は4月に診療報酬の改正があり、文字通りどたばたと過ごしているうちに、もう暦は師走となり、今年も残すところ3週間・・・あっという間に年の瀬のあわただしい時期になりましたね。
最近、巷では、高齢者の運転による痛ましい事故が毎日のように報道されています。
先日も、私どもの福岡オフィスのすぐ近くにある原三信病院にタクシーがロビーの中まで突っ込み、壁に当たって止まるという事故があり、多くの方が犠牲になりました。
その前には大学病院のタクシー待ちの列に車が突っ込んだり、小学生の登下校の列に突っ込んでいったりという痛ましい事故が今年は目についていたように思います。そういう私自身も毎日、通勤や仕事でハンドルを握る身ですので、他人事とは思えず、安全運転で行こうと心新たにしているところです。
特に師走の慌ただしい時期だからこそ、時間に余裕をもって、慎重にいきたいものですね。
高齢者にとって、移動手段というのはとても重要で大きな意味を持っています。
また、長年営業等で車を利用して仕事をしていた方や、タクシー・バスなど運転を主に仕事をしていた方にとって、自分自身の生活の一部で、車は切り離せないものになっているのではないでしょうか?
その反面、中高年になると、体力の衰えもありますが、認知機能は徐々に低下していて、目に見えない変化のため、自分自身でも、家族にも気づかれないまま判断力を含む認知機能が落ちていくということが現実のように思います。あるとき、今まで何にも感じなかったことが「面倒だな」と感じたり「億劫」に感じたり、重たいものが持てなくなったり、急いでいるつもりなのに急ぐことができなくなったり・・・年を取るということは、できることが一つずつできなくなりことだなあと改めて感じています。
それは認知機能だけではなく、
・同じことを言う、聞く・・・繰り返し
・外に出るのが億劫になる・・・引きこもり
・人と会いたくない・・・孤立
・面倒だから着替えない、お風呂に入らない・・・不潔
・薬を飲み間違える・・・重複、服薬忘れ
・ものがなくなる(どこに置いたのかわからなくなる)・・・物忘れ、ものとられ妄想
・片付けられない・・・ゴミ屋敷 ・・・etc.
それは一人ひとり一様ではなく、起こる状況もまちまちで、一つだけだったり重複して出てきたり、その方の置かれた環境によって様々なことが起こってくるのだと思います。
早めの対処で、「衰え」を遅らせることもできるので、「早期発見・早期治療」が必要だとはよく聞きますが、本人が「自覚していない」ため、なかなか病院には行きたがらないかもしれません。また、ごく近しい身内であれば「あんなにしっかりしていた人だから、認知症なんてありえない」と受け入れることができずに、変化に目をつぶってしまうこともあるかもしれません。
厚労省のホームページでは、「認知症施策」についてホームページで紹介されています。この中にも書かれていますが、「地域づくり」そのものですね。
親の、また、伴侶の、認知症を受け入れることはなかなかできるものではないと思います。団塊の世代の方々がすべて75歳になる2025年には、2人に1人は「認知症」になるとも言われており、それは長寿大国ならではの悩みとなることは間違いないでしょう。
その時にどのように対処したらいいのか?
地域の中で、考えていくべき時が来ているようです。
<参考資料>
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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