【医療介護あれこれ】横断的事項「かかりつけ医機能(その1)について」
長 幸美
アドバイザリー2月は「にげる」という例えの通り、あっという間に2月も終わろうとしています。
2月22日はニャン.ニャン.ニャン(2.22)で「猫の日」だったそうでございます。
この「猫の日」に「猫」とは程遠い、中医協では、まだ平成28年度診療報酬改定から1年もたっていないのに、もうすでに来年度の医療介護の同時改定に向け、審議が始まっています。時期改定に向けてのスケジュールは下記の通り提案されています。
出典:平成28年12月21日中医協総会資料より
2月22日は「かかりつけ医機能」について「横断的事項」として審議が行われました。
この「横断的事項」とは、平成28年12月21日に行われた中医協総会等において、「時期改定に向けて、医療提供のあり方に横断的に関係する事項については、「横断的事項」と整理してそれぞれ議論するとされたことにあります。
出典:横断的事項「かかりつけ医機能(その1)」より(平成29年2月22日中医協 総-5)
「かかりつけ」の役割については、何をもって「かかりつけ」というかということが論点になっています。
「なんでも相談できる」「患者の日常生活の背景を把握し、保健指導を行う」「地域の医師、医療機関等と協力して医療支援を行う」などなど・・・
患者様の日常的な医学管理から、急変時の専門医療機関との橋渡し、はたまた在宅療養支援や介護との連携など・・・その役割は非常に幅広いものになります。
出典:横断的事項「かかりつけ医機能(その1)」より(平成29年2月22日中医協 総-5)
「かかりつけ医」に求められるものとすれば、やはり「何か困ったときに」、「急な体調変化の対処に」・・・いつでも相談できる、話を聴いてもらえる、専門家を紹介してもらえるということも重要なものになってくるでしょう。
しかしながら、すべてのことを24時間365日一人の医師が受けることができるわけではありません。この為に、運動(リハビリ)、食事(栄養士)、薬物療法(薬剤師)等の医療専門職との連携を充実させていくことが必要だということは容易に考えられます。
「かかりつけ医」をどの程度の方が意識されているでしょうか?
70歳以上の方では約8割の方がかかりつけ医を持っているという結果になりました。
かかりつけ医はどのような医師かという問いに対しては、病気の主治医で幅広く見てくれると考えている方が多いようです。病気を限定せずに診療してくれる医師という認識であることがわかります。
また、かかりつけ医にのぞむ医療や体制については、カウンセリング機能・・・つまり話を聴いてほしいという声が多くなっているようです。また、往診や訪問診療等の在宅医療を希望されている方も大きく増えていました。
総合して考え合わせると、「全人的かつ継続的な診療」を行ってくれることと、「アクセスの良さ」が大事になってくるようです。・・・この「アクセスの良さ」とは単に便利な場所にあるということだけではなく、必要な時に連絡が取れ、深夜や休日などの緊急時にも診てくれる・・・といったことも含まれているようです。
出典:横断的事項「かかりつけ医機能(その1)」より(平成29年2月22日中医協 総-5)
これらを踏まえたうえで、これからの医療機関が「かかりつけ医」としていくためには、どのようなことが考えられるのか、海外の事例が紹介されていました。
私も海外の医療機関・介護施設等の視察に訪れたことがございますが、それぞれにお国柄もあり、何よりも医療保険の考え方が違っています。この為参考にできることは限られているようにも思いますが、共通して言えることは、次の三点であると思います。
①総合診療医や家庭医が中心となり地域を支えている
⇒何かあったらすぐに相談できる医師がいて、画像診断をはじめとするさまざま検査や医療行為はその医師からの紹介が必要な状況があります。これは、加入している医療保険も含めて「契約」が基になる場合が多いようです。この為、本人たちの意識の中に、「家庭医」「主治医」という認識が強いように思います。
②リピート調剤の進展
⇒総合診療医の業務負担軽減を目的に、一定期間総合診療医の診察を経由せずに薬を処方する仕組みを作っている国もあります。
③ICTの活用
⇒電子カルテや診療予約だけでなく、利用者の意思で旅行先などでも診療内容等がわかるようなICTが導入され、日本でも同様に検討されているようです。
これからの来年の同時改定に向けて、議論が活発になってくることと思います。
また、各地ですでに「合同改定に向けたセミナー」が行われているようです。注目の度合いがうかがえますね。弊社も情報が出る都度、ご提供していきたいと思っております。
<参考資料>
〇横断的事項 かかりつけ医機能(その1)・・・中医協 20170222
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
最新の投稿
- 2024年11月5日医療系事務職員応援隊Q&Aより~医師国保がいい?それとも協会けんぽ?~
- 2024年10月21日医療介護あれこれ接遇レッスン~ユマニチュード導入のSTEP~
- 2024年10月18日診療所介護保険3施設~特養・老健・介護医療院どう違うの?
- 2024年10月14日医療接遇接遇レッスン~ユマニチュードと接遇を考える~