【医療介護あれこれ】平成30年度診療報酬改定に向けた議論の概要
長 幸美
アドバイザリー立秋を迎え、ツクツクボウシが無きはじめ、朝夕少しひんやりとした空気を感じることができるようになりました。
8月9日の中医協では、平成30年度診療報酬・介護報酬改定に向けた第一ラウンドのまとめとして、今までの議論の概要が出されました。
出典:H29.8.9 中医協資料「中医協の検討スケジュール」
前回の平成28年度診療報酬改定から、「続く」改定であるということ、「連携」「かかりつけ」「地域包括ケアシステム」がキーワードとなる改定で、次期改定は医療・介護との両面からこのキーワードを考えていくことになると思います。
医療と介護の同時改定であるということから、①看取り、②訪問看護、③リハビリテーションについては、介護給付分科会の中でも議論され、その内容が中医協へ報告され、議論が進んできています。
「看取り」については、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を踏まえた対応が求められ、居宅、介護施設、医療機関における看取りと医療・介護のサービスについて議論されています。
村上智彦先生の著書(遺稿)で「最強の地域医療」(ベスト新書)にも多くの提言が書かれていました。特に、過疎地域の医療・介護にかかわる方々にはぜひ一度読んでいただきたい本です。村上先生は地域医療のパイオニア的な存在です。地域医療を支えることは「まちづくり」を支えていくことであるということを実感させてもらえます。
さて、話を戻しましょう。
これから先、少子高齢化が進んでいくに従い人員の確保は大きな問題としてのしかかってくると思います。今でも介護職員の不足により多くの介護事業所、医療機関が人員の確保に苦慮されていることでしょう。地方に行けばいくだけ、この問題は深刻です。
しかしながら、「かかりつけ」医師や薬剤師とともに、「予防」に取り組むことにより、また、機能分化することにより、地域全体の医療機能、介護機能を確保することができれば、解決する糸口がつかめるのではないでしょうか。
主な検討項目としては、前回の改定同様、以下の4項目が挙げられています。
(1) 医療機能の分化・連携の強化、地域包括ケアシステムの構築の推進
- ①入院医療、②外来医療、③在宅医療、④医療と介護の連携
(2) 患者の価値中心の安心・安全で質の高い医療の実現
- アウトカムに基づく評価
- 患者や家族等への情報提供や相談支援
- 医療機能等に関する情報提供や公表
- 患者の選択に基づくサービス提供
(3) 重点分野、個別分野に係る質の高い医療提供の推進
- 緩和ケアを含むがん、・認知症、 ・精神医療、・リハビリテーション、・口腔疾患の重症化予防等、・薬剤管理業務
(4) 持続可能性を高める効果的・効率的な医療への対応
- ①医療品、医療機器等の適切な評価
・薬価制度の抜本改革、・費用対効果、・新しい医療技術の保険適用 等 - ②次世代の医療を担うサービスイノベーションの推進
・バイオテクノロジー、ICT、AI(人工知能) 等
これから第2ラウンドに入っていく中医協の審議に注目していきましょう!
<参考資料>
○平成30年度診療報酬改定に向けた議論(第1ラウンド)の概要
• 総-1(PDF:70KB)
• 総-1参考(PDF:78KB)
〇人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン
〇参考図書:「最強の地域医療」(ベスト新書)村上智彦著
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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