【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】横断的事項(その5)について

長 幸美

アドバイザリー

師走に入りました。街に出るとクリスマス一色ですね。
さて、改定の審議は第2フィードを終わろうとしています。論点の整理ができ、来年の1月終わりの諮問に向けて審議は進んでいくものと思われます。

今回は、横断的事項として、地域包括ケアシステムの確立に向けて話が出ております。

【地域包括診療料等】
地域包括診療料等は、同意を得た患者に対し、あらかじめ決められた担当医がすべての医療機関と診療内容を把握し、「かかりつけ医」の役割として評価されたものです。

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

地域包括ケアシステムを構築するうえで、「かかりつけ医」機能について多くの議論がされてきました。簡単に言うと、「いつでも、何でも相談できる存在」であることが求められています。

 

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

地域の中で生活をする患者に寄り添うためには、医師だけではなく、「看護師」「薬剤師」の役割も大きなものがあります。
また、生活は24時間365日、継続していくことになりますので、一人の医師がすべてを支えていくこともできません。

有床診療所の項でお話をしたいと思いますが、在宅の後方支援としての役割が有床診療所や中小規模の病院には求められています。自院のできること、やりたいこと、更に地域から求められている医療機能について、しっかりと分析・検討し、軸足をどこにおいていくのか、しっかりと検討する必要があります。

 

【薬剤の適正使用の推進】
薬剤の使用については、特定の病院に限ったことではありませんが、特に急性期の病院については「専門職の業務分掌(チーム医療)」と「病棟薬剤業務」や「感染体制」の確立が求められています。

薬剤の使用については「抗生物質の薬剤耐性菌」の問題も多く挙げられています。
このため、抗菌薬について、使用料を減少させるようなアクションプランが立てられています。

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

減薬についても、非常に手間がかかることですが、前回の改定で、多剤投薬の患者の減薬を伴う指導に、評価が付きました。
調剤薬局や調剤薬局の薬剤師さんに対しても、訪問薬剤指導や服薬管理等に評価が付き、重要性が評価され始めました。

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

入院の「薬剤管理指導料」について、「患者がどこの医師にかかり、どんな投薬を受けていたのかを確認する」という作業が求められ始め久しいのですが、そもそも「病院の薬剤師に何を求められているのか」「市中の調剤薬局の薬剤師に何を求められているのか」というところをもう一度見ていく必要があるのではないのでしょうか?

ここでも、「連携」というところが重要なキーワードになってきます。

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

【遠隔診療(情報通信機器を用いた診療)】
遠隔診療については、以下の三点について課題として議論されました。

① 情報通信機器を用いた医学管理を診療報酬で評価する場合の基本的な考え方
② 対面診療を基本としつつ、「オンラインによる計画的な診察(医学管理)」と「電話再診(療養上の相談)」などは、患家等から療養上の求めに応じ、電話等で対応する場合を評価して、診療上は区別されてもよいのではないか。
③ 対面診察とオンラインでの診察を組み合わせて、外来や在宅で医学管理を行っている場合の評価について、整理が必要である。

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

遠隔診療については、「計画的な指導管理」を中心に検討が進められています。現在の段階で、計画的な指導管理を要件とされている指導料は以下の通りです。

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

遠隔診療については、処方箋料の取り扱いも課題としてあります。今後の動向を見ていきたいところです。

 

【情報通信技術(ICT)を活用した連携】
対面でのカンファレンスを求めている診療報酬がいくつかあります。
「感染防止対策加算」「退院支援加算」等について、年に数回の面会による連携が求められています。

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

在宅看取りの推進の一つだと思われるのですが、死亡診断のICT化が検討されています。
「看取り」については、在宅、住宅系施設、地域密着型サービス、特養をはじめ介護医療院に至るまで、すべてに求められているものです。

ターミナル期に入ると、体の変化に戸惑い、とても恐怖感があると思いますが、そこをどうサポートしていくのか、ということに対し、評価がついています。

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

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出典:中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

 

<参考資料>
中医協資料「横断的事項(その5)」20171201

経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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