【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】外来医療(その4)「病診連携・機能分化について」
長 幸美
アドバイザリー<参考>【速報】平成30年度診療報酬改定資料 告示出ました!
今回は「外来の病診連携と機能分化」について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
病院と診療所との機能分化については、大病院については「専門医療機関」として、また診療所は「かか
りつけ医」の 機能として機能分化を図るという観点から、様々な方法で診療報酬上の評価の見直しが行わ
れてきました。
紹介患者を受けた時の加算や、紹介件数や逆紹介の件数により、保険診療の施設基準の中の評価に結び付
けること、患者さんを中心に「地域脳医療機能を確保していく」という観点からの変更を繰り返してきたことは記憶に新しいことだと思います。
前回の平成28年度の診療報酬改定では大病院の受診時に定額負担を求めることが義務付けられ、その対象
医療機関を「一般病床500床以上の地域医療支援病院」というくくりが明確化されていました。今回はさ
らに小さい病床規模の地域医療支援病院に対象を拡大し、「病院の医療機能を明確にしていく」という方
向性が明確になってきています。
この根底には、「外来の医療提供体制」を
①大病院(専門病院)⇒より専門性の高い医療に徹し、一般的な外来機能は縮小してほしい
②クリニックや中小の病院⇒かかりつけ医機能を有し一般的な外来機能を基本としてほしい
という風に区分され、外来の医療としてもしっかりと「機能分化」を図っていこうとされています。
また、かかりつけ医については地域包括診療料などで継続的に診療している患者に対する手続きや在宅医療の提供等について要件を見直す方向で論点が整理され、地域包括診療料を「かかりつけ医等における再診の患者」として整理されています。
ここで、医療者側の「かかりつけ医」の認識と、患者やその家族が考える「かかりつけ医」の像が一緒ではないことも留意していく必要があると思います。
また、これは高齢者だけではなく、「小児」などのすべての患者さんにかかることとなります。
出典:中医協資料20180110「外来医療(その4)」より
遠隔診療については、対面診療とICTを活用して医学管理を行うことについて評価され、ICTを活用した診療は「継続的な医学管理を行っている再診患者」と整理され、明確化されてきました。
出典:中医協資料20180110「外来医療(その4)」より
遠隔診療の基本的な考え方は、以下の通り整理されています。初診の患者は当該要件を満たさないこと、医師と患者の合意があること、何よりも対面診療がベースにあることが明記されています。遠隔診療をお考えの先生は是非よく確認されることをおススメします。
なお、参考資料として「計画的な指導管理を要件としている診療報酬の例も掲載いたします。ご覧になってお分かりになると思いますが、「慢性疾患」で「長期的な医学管理が必要」であり、定期的な診療を必要とすることがベースにあります。
出典:中医協資料20180110「外来医療(その4)」より
日本の医療は「フリーアクセス」という特徴を持っています。このフリーアクセスを拡大解釈し、「いつでもどこでも診療を受けられる」と拡大解釈してしまっている国民も多く、「コンビニ診療」ということが社会問題になっています。「必要な時に必要な医療にアクセスできる」という本来の意義をしっかりと理解していく必要があり、意識改革が必要です。
外来医療の機能分化、病院と診療所の連携を考えていく中では、「緩やかなゲートキーパー機能」を念頭に、自医療機関の役割がどこにあるのかをしっかりと見極めていくことが必要です。
<参考資料>
〇外来医療(その4)・・・中医協平成30年1月10日中医協審議会資料
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000190472.pdf
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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