【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】入院医療の変更点 ④地域包括ケア・回復期

長 幸美

アドバイザリー

<参考>【速報】平成30年度診療報酬改定資料 告示出ました!

地域包括ケア病棟及び回復期リハビリテーション病棟については、ベースの入院料が一般病棟の場合と療養病棟の場合があります。

今回の大きな改定のポイントはこの「地域包括ケア」「回復期」にあると思っています。

 

【地域包括・回復期リハのポイント】

◆求められるのは、退院支援を行う病棟であること

⇒リハビリを求められる病棟か、その他の支援も必要か?

◆地域包括ケア・・・ポストアキュート、サブアキュートの評価を分ける、多職種連携

◆回復期リハビリテーション・・・集中的なリハビリを行い、アウトカム重視、栄養管理

⇒退院後も見据えたリハビリ対応・・・専従セラピストも自宅へ行き支援する

 

【回復期リハビリテーション】

回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系にリハビリテーションの実績指数を組み込むこと、これに伴い、リハビリテーション充実加算を廃止することが出されてきています。

今まで3段階での評価だったものが、実績加算を含め6段階に評価されています。

図1

出典:中医協資料_「答申」参考資料(20180207)

 

<施設基準>

(1) 通則  

イ.対象患者80%以上病棟単位で届出

ロ.一日当たり 2単位以上のリハビリテーションが行われていること

ハ.当該病棟に専任の常勤医師が 1名以上配置されていること

ニ.看護職員 15:1以上

回復期リハビリテーション病棟入院料1・2は13:1以上

ホ.看護師比率 4割

回復期リハビリテーション病棟入院料1・2は7割以上

ヘ.看護補助者 30:1以上

ト.当該病棟に専従常勤PTが2名以上、常勤OTが1名以上

(回復期リハビリテーション病棟入院料1・2は専従の常勤PTが3名以上、常勤OTが2名以上、常勤STが1名以上

チ.データ提出加算の届出を行っていること

(回復期リハビリテーション病棟入院料5・6にあっては 200 床以上の保険医療機関に限る)

 

(2) 回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準 

イ .当該病棟に専任の常勤社会福祉士が1名以上配置されていること

ロ. 休日を含め、週7日間リハビリテーションを提供できる体制を有していること

ハ .当該病棟において、新規入院患者のうち30%以上が重症の患者であること

ニ .重症の患者の30%以上が退院時に日常生活機能が改善していること

ホ .当該病棟において、退院患者のうち他の保険医療機関へ転院した者等を除く者の割合が70%以上であること

ヘ. リハビリテーション実績指数が 37以上であること

 

(3)回復期リハビリテーション病棟入院料2の施設基準 

(2)のイ、ロ、ハ、ニ及びホを満たすもの

 

(4)回復期リハビリテーション病棟入院料3の施設基準

イ. 当該病棟において、新規入院患者のうち20%以上が重症の患者であること

ロ .重症の患者の30%以上が退院時に日常生活機能が改善していること

ハ .当該病棟において、退院患者のうち他の保険医療機関へ転院した者等を除く者の割合が70%以上であること

ニ .リハビリテーション実績指数が30以上であること

 

(5)回復期リハビリテーション病棟入院料4の施設基準 

(4)のイ、ロ及びハを満たすもの

 

(6) 回復期リハビリテーション病棟入院料5の施設基準

リハビリテーション実績指数が30以上であること。

 

(7)回復期リハビリテーション病棟入院料6の施設基準 

(1)を満たすもの

 

回復期リハビリテーション病棟入院料:基本体系

図2

 

 

◆リハビリ職の病棟専従要件の緩和

病棟専従のリハビリ専門職が、退院した患者の自宅に訪問リハビリを行い、外来でのリハビリテーション等により地域の中での生活に戻った時のサポートを行うことを求められているようです。

<施設基準>

1) 通則

当該病棟に専従の常勤理学療法士が2名以上、常勤作業療法士が1名以上配置されていること。

(回復期リハビリテーション病棟入院料1及び2にあっては専従の常勤理学療法士が3名以上、常勤作業療法士が2名以上、常勤言語聴覚士が1名以上配置されていること)

ただし、以下のア及びイを満たす場合に限り、専従の規定にかかわらず、当該医療機関に入院中の患者に対して退院前の訪問指導並びに当該病棟から退院して3か月以内の患者に対して訪問リハビリテーション指導及び外来におけるリハビリテーションの提供が可能である。

ア リハビリテーション実績指数が37以上である

イ 当該保険医療機関において、前月に外来患者に対するリハビリテーション又は訪問リハビリテーション指導を実施している

 

◆回復期リハビリテーション病棟入院料1 

<算定要件>

(1)リハビリテーション実施計画又はリハビリテーション総合実施計画の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえた計画を作成すること。なおその際、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書における(※)栄養 関連項目については、必ず記載すること。

リハビリテーション実施計画書及びリハビリテーション総合実施計画書に、栄養状態等の記入欄を追加

(2)管理栄養士を含む医師、看護師その他医療従事者が、入棟時の患者の栄養状態の確認、当該患者の栄養状態の定期的な評価及び計画の見直しを、共同して行うこと。

(3)栄養障害の状態にある患者、栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれる患者、その他の重点的な栄養管理が必要な患者については、栄養状態に関する再評価を週1回以上行うこと。

 

◆診療実績データの提出への評価

<経過措置>

平成30年3月31日において、一般病棟入院基本料(10 対1)、療養病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟10 対1)、専門病院入院基本料(10 対1)及び回復期リハビリテーション病棟入院基本料に係る届出を行っている保険医療機関においては、平成31年3月31日までの間許可病床50床未満又は1病棟のみを有する保険医療機関においては、平成32年3月31日までの間)に限り、当該施設基準を満たしているものとみなす。

 

◆在宅復帰率

在宅復帰率の計算式が下記のように変更されています。

 

図3

出典:中医協資料_「答申」参考資料(20180207)

 

【地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料】

地域包括ケア病棟は、ポストアキュート、サブアキュートの二つの機能があります。

これらの役割をどのように考えていくのかがポイントになってくると思います。

 

実績評価として、自宅からの入院や緊急患者の受入れ、在宅医療の提供や連携の実績等が含まれています。また、療養病棟への退院、老健への退院が在宅復帰にカウントされなくなりました。これは少々、影響が出る医療機関があるかもしれません。

図4

 出典:中医協資料_「答申」参考資料(20180207)

 

病床は4区分となっていますが、病床単位での申請もできるようになります。これは変更ありません。また、介護サービスの提供も評価されることになり、訪問看護の提供、訪問リハビリや通所リハビリ等の介護事業についても「治し支える」ということを実績しているところは評価が高くなります。

 

図5

 

出典:中医協資料_「答申」参考資料(20180207)

 

◆地域包括ケア病棟入院料

<施設基準>

(1) 通則 

イ 当該病棟(入院医療管理料1、2、3及び4にあっては、当該病室を有する病棟)において、1日に看護を行う看護職員の数は、常時当該病棟の入院患者の数が13 又はその端数を増すごとに1以上であること

ロ 当該病棟(入院医療管理料1、2、3及び4にあっては、当該病室を有する病棟)において、看護職員の最小必要数の7割以上が看護師であること

ハ 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準を満たす患者を1割以上又は一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を0.8割以上入院させる病棟又は病室であること

ニ 当該保険医療機関内に在宅復帰支援を担当する者が適切に配置されていること。

ホ 当該病棟又は病室を有する病棟に常勤の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が1名以上配置されていること

データ提出加算の届出を行っていること

ト 特定機能病院以外の病院であること

チ 心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料又はがん患者リハビリテーション料に係る届出を行った保険医療機関であること

リ 地域包括ケア入院医療を行うにつき必要な体制を有していること

ヌ 病院の一般病棟又は療養病棟の病棟(入院医療管理料1、2、3及び4にあっては病室)単位で行うものであること

 

(2) 地域包括ケア病棟入院料1の施設基準 

イ 当該病棟において、退院患者に占める在宅等に退院するものの割合が7割以上であること

ロ 当病室の床面積は、内法による測定で、患者1人につき、6.4 平方メートル以上であること

ハ 許可病床数が200 床未満の保険医療機関であること。

ニ 当該病棟に入棟した患者のうち、自宅等から入棟した患者の占める割合が1割以上であること

ホ 当該病棟において自宅等からの緊急入院患者の受入れが3月で3人以上であること

へ 以下のa、b、c 又はd のうち少なくとも2つを満たしていること

a. 当該医療機関において在宅患者訪問診療料の算定回数が3月で20回以上であること

b. 当該医療機関において在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料又は精神科訪問看護・指導料Ⅰの算定回数が3月で100回以上、又は同一敷地内の訪問看護ステーションにおいて、訪問看護基本療養費又は精神科訪問看護基本療養費を算定回数が3月で500回以上であること

c. 当該保険医療機関において、開放型病院共同指導料(Ⅰ)又は(Ⅱ)の算定回数が3月で10回以上であること

d. 介護保険における訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、介護予防訪問看護又は介護予防訪問リハビリテーション等の介護サービスを同一敷地内の施設等で実施していること

ト 当該保険医療機関において、厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン等の内容を踏まえ、看取りに対する指針を定めていること

 

(3) 地域包括ケア入院医療管理料1の施設基準 

イ  当該病室において、退院患者に占める、在宅等に退院するものの割合が7割以上であること

ロ  当該病室に入棟した患者のうち、自宅等から入室した患者の占める割合が1割以上であること(当該病室が10 床未満の場合については自宅等から入室した患者を前1月において1人以上受け入れていること)

ハ  当該病室において自宅等からの緊急入院患者の受入れが3月で3人以上であること

ニ  (2)のロ、ハ、へ及びトを満たす医療機関であること

 

(4) 地域包括ケア病棟入院料2の施設基準 

(2)のイ及びロを満たす医療機関であること

 

(5) 地域包括ケア入院医療管理料2の施設基準 

(2)のロ及び(3)のイを満たす医療機関であること

 

(6) 地域包括ケア病棟入院料3の施設基準 

(2)のハ、ニ、ホ、ヘ及びトを満たす医療機関であること

 

(7) 地域包括ケア入院医療管理料3の施設基準 

(2)のハ、ヘ及びト並びに(3)のロ及びハを満たす医療機関であること

 

 (8) 地域包括ケア病棟入院料4の施設基準

通則の施設基準を満たす医療機関であること

 

(9) 地域包括ケア入院医療管理料4の施設基準 

通則の施設基準を満たす医療機関であること

 

◆地域包括ケア病棟入院料・医療管理料

図6

 

◆急性期患者支援病床初期加算  150点(1日につき、14日限度)

注:当該病棟又は病室に入院している患者のうち、急性期医療を担う他の保険医療機関の一般病棟から転院した患者又は当該保険医療機関急性期医療を担う保険医療機関に限る)の一般病棟から転棟した患者については、転院又は転棟した日から起算して14日を限度として、急性期患者支援病床初期加算として、1日につき150点を所定点数に加算する。

 

◆在宅患者支援病棟初期加算  300点(1日につき、14日限度)

注:当該病棟又は病室に入院している患者のうち、介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等又は自宅から入院した患者に対し、治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行った場合に、入院した日から起算して14日を限度として、在宅患者支援病床初期加算として、1日につき300点を所定点数に加算する

 

◆(経過措置)地域包括ケア病棟入院料

平成 30 年1月1日時点で地域包括ケア病棟入院料1又は2を2病棟以上届け出ている保険医療機関であって、許可病床数が 400床以上の保険医療機関については、当該時点で現に届け出ている複数の病棟を維持することができる。

 

◆在宅復帰率

<地域包括ケア病棟入院料1、地域包括ケア入院医療管理料1、地域包括ケア病棟入院料2及び地域包括ケア入院医療管理料2の施設基準>

・退院患者に占める、在宅等に退院するものの割合が7割以上であること

・地域包括ケア病棟入院料に係る在宅等に退院するものとは、次のア、イ及びウのいずれにも該当しない患者をいう

他の保険医療機関<有床診療所入院基本料(介護サービスを提供している医療機関に限る)を算定する病床を除く>に転院した患者

介護老人保健施設に入所した患者

同一の保険医療機関の当該入院料にかかる病棟以外の病棟への転棟患者

※ 在宅復帰に係る指標の名称を急性期一般入院料1、7対1特定機能病院入院基本料(一般)及び7対1専門病院入院基本料に係る指標は「在宅復帰・病床機能連携率」、その他の入院料に係る指標は「在宅復帰率」とする。

 

◆(新設)看護職員夜間配置加算         55点(1日につき)

<施設基準>

(1)当該病棟又は病室を含む病棟において、夜勤を行う看護職員の数は、常時16対1以上であること

(2) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の基準(B項目のうち、「診療・療養上の指示が通じる」又は「危険行動」)を満たす患者を、3割以上入院させる病棟であること

(3) 看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること

 

<算定要件>

看護職員夜間配置加算は、看護職員の手厚い夜間配置を評価したものであるため、16対1配置を満たしていても、各病棟における夜勤の看護職員の最小必要数を超えた3人以上でなければ算定できない。

 

医療資源が少ない地域の場合は別途評価がついていますので、ご確認ください。

 

 

<参考資料>

〇中央社会保険医療協議会 総会(第388回) 議事次第 (平成30年2月7日)

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000193003.html

 

〇第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料 (平成30年1月26日)

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192309.html

 

 経営支援課

 

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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