【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】オンライン診療(遠隔診療)について
長 幸美
アドバイザリー土筆が芽を出し、彼岸桜が咲き始め、巷はすっかりと春の装いになってきました。
平成30年度診療報酬改定も告示が出て、1週間、皆様の医療機関でもシミュレーションを行い、今回の改定においてどうするのか、最終段階の詰めの時期に入ってきていると思います。
今回は新たに認められている「オンライン診療」について考えてみたいと思います。
昨年から首相官邸が音頭を取り、「規制改革推進会議」の中の医療・介護ワーキンググループにおいて、遠隔診療の評価をどう考えていくのかということが検討されてきました。
(出典)医科_改定の概要Ⅰ_入院関係(厚労省説明会資料)より
遠隔診療とは、情報通信機器を用いた診療のことで、離島や無医村地域をはじめ、医療過疎といわれている地域の診療支援等で認められ、医療の質の確保に貢献してきたものです。近年の情報通信機器の発達とともに、画像診断等の医師と医師だけではなく、前回の改定では心臓ペースメーカー指導管理料についても「遠隔モニタリング」を行うことを検討されていました。
今回はオンライン再診や指導管理料等も新たに評価がつき、遠隔診療元年とも言えそうです。
<基本的な考え方>
1)特定された疾患・患者であること
2)一定期間継続的に対面診療を行っており、受診間隔が長すぎないこと(※)
3)急変時に円滑に対面診療ができる体制があること
4)安全性や有効性のエビデンスが確認されていること
5)事前に治療計画を作成していること(※)
6)医師と患者の両者の合意があること
7)上記のような内容を含む一定のルールに沿った診療が行われていること
(※)初診の患者は、当該要件を満たさないため、対象に含まれない
これらの基本的な考え方をベースにして、情報通信機器を用いた診療に関する安全性や有効性を考え、以下のようにルールの整備が行われ、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」がまとめられて、3月9日の「未来投資会議」の第4回会合の中で議論が整理されています。
プライバシー保護や、医療の必要性・有効性等を踏まえ、適切な診療を担保していくことが求められていますので、オンライン診療をお考えの先生方、医療機関の職員の方はぜひ一度目を通しておかれることをおススメします。
(出典)医科_改定の概要Ⅰ_厚労省資料より(20180305)
また、今回出てきたオンライン診療関係のスライドを抜粋して添付します。
さらに、遠隔モニタリング加算として、「在宅酸素療法指導管理料」「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料」が認められています。
これらの改定において、あくまでも「対面診療」をベースにしていることをしっかりと踏まえておく必要があります。このため、スライドの中のサンプルケースにおいても、二か月に1回の対面診療が求められていると思います。
今回の改定は、これらのICTの導入に「舵をきった」ともいえるのではないでしょうか?
働き方改革も含め、高齢化していくクリニックの先生方をどう支えていくのか、ということも踏まえ考えられてきたこの仕組み・・・これだけでは終わらないような気がしています。
次期改定に向けて徐々に増えていくことも予測されます。
「うちはオンライン診療をやらなくても、何とかなる・・・」「オンラインはやりたくない」
・・・では済まなくなるような気がしています。
<参考資料>
◆オンライン診療の適切な実施に関する指針(案)(20180309 厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000197016.pdf
◆オンライン診療の推進:未来投資会議構造改革徹底推進会合資料(20180309)
◆遠隔診療の診療報酬上の評価:規制改革推進会議 医療介護WG資料(20171219)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/iryou/20171219/171219iryou03.pdf
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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