【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】調剤薬局の役割と改定の影響について その②
長 幸美
アドバイザリー
今回のコラムは、前回の「調剤薬局の役割と改定の影響について その①」の続きとなります。
前回では、改定の概要を見ていきました。皆様の調剤薬局さまでは、どのような対応がなされているのでしょうか。
対人業務の評価がある一方で、今回の改定は「働き方改革」の改定でもあります。
いかに薬学管理を行いながら重複した作業についてはできる限り簡略化していくということが検討され、連携による評価も多くなっていますが、実際にはなかなか算定が厳しいなとお感じになっておられる調剤薬局さまも多いのではないでしょうか?
また、業務内容としては、薬剤服用歴の記載事項が整理され、以下のように項目が少なくなっています。
しかしながら、まだまだ記録しなければならないものは多く、対人業務を行えば行うほど記録に悩まされるということもあるかもしれません。
出典:平成30年度診療報酬改定の概要_調剤(厚労省保険局医療課)
最後に、質問が多い分割調剤について触れておきましょう。
前回の改定で「リフィル処方箋」つまり1枚の処方箋により、一定期間内、継続的に複数回処方を受けることを検討されていましたが、今回認められた「分割処方箋」はこのリフィル(おかわり)機能を認められたものではありません。
「分割処方箋」の目的は、継続的な薬学管理指導を行うことを目的としています。
今回認められた「分割処方せん」とは、医師の指示のもと、1回分の処方内容を最大3回に分けて患者に渡すことができる処方せんになります。
したがって、請求方法としては、1回の調剤基本料を、分割回数に案分して請求することとなります。(やむを得ない事情を考慮して、とされています)
また、継続的な薬学管理指導を目的としているものですので、1回分の処方という考え方となり、1回分の処方ですので、原則同じ調剤薬局で継続して処方を受けることになります。
この分割処方箋を使った調剤には、以下の留意事項がありますので、併せてお読みください。
出典:平成30年度診療報酬改定の概要_調剤(厚労省保険局医療課)
出典:平成30年度診療報酬改定の概要_調剤(厚労省保険局医療課)
出典:平成30年度診療報酬改定の概要_調剤(厚労省保険局医療課)
冒頭にも述べましたが、「原点に返る改定」であるということを申し上げました。
対人業務を増やせば当然のことながら、「記録」が必要になります。すべてを一人の人がになっていくこともできませんから、これまた当然の如く「連携」し、「多職種で協働する」ということが必要になります。
しかし、本来の「医薬分業」を考え、さらにこれからの少子高齢化問題を乗り越えていくには、「地域で生活する方々を、地域で支えていく」ということがとても大事になってきます。このコラムの読者の皆様は「もう聞き飽きたよ」とおっしゃるかもしれませんが、皆様の生活する地域は生活する皆様で支えていかなくてはならないと思っています。
ぜひ、この地域で安心して暮らせる仕組みを、医療人の一人として考えていきましょう!
【参考資料】
〇平成30年度診療報酬改定の概要_調剤(厚労省改定説明会資料)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197985.pdf
〇診療報酬 別表第3 調剤報酬点数表
〇別添3 調剤報酬点数表に関する事項
〇別紙様式1
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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