内容証明郵便による債権回収の請求について
森永 治
税務・会計商品の販売代金等を再三催促しても、相手から支払ってもらえないなどの例があります。しかも、専ら相手の良心に期待して、口頭や電話または通常の請求文書の郵送を繰り返し行っているに過ぎない場合があります。しかし、これだけでの手段では支払わないことへの後ろめたさなど感じない相手が多いです。そこで、次に打つ手段としては、法的手続きへの端緒ともなる内容証明郵便による督促です。
内容証明郵便は郵便法48条に基づく制度です。これによる督促は、自らの確固たる意志を公的制度で表明するものですから、債権者はまずそのことを自覚して行動に移す必要があり、同時に相手から付け込まれるような余計な争点がないことが望まれます。その上で内容証明郵便を送付すれば、債務者の中には「相手は訴訟も辞さないのでは」と考え、軟化に転じることも考えられます。
この様な形で効用が現れるならば結構なことですが、内容証明郵便の本来の効用は、公的制度のもとに、債務者に対し、確実に一定内容の文書による督促がなされたことが証明されること、及び、後日これが訴訟に発展した場合には有力な証拠となる点にあります。当該郵便による催促に認められる法的な効果として、遅延利息を支払わせることができ、契約の解除や進行している債権の時効を中断することもできることとなります。実際、内容証明郵便の作成形式は留意点がいくつかあり、また、実務ではこの様な方法を使わないようにしたいものですが、多額の金額の請求や複雑な事情が絡む場合には、事前に弁護士に相談した方が良いと思われます。
税務会計コンサルティング部 部長
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- 税務会計コンサルティング部 部長
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