【医療介護あれこれ】新型コロナウイルス感染症に伴う診療報酬上の臨時的な取り扱いについて
長 幸美
アドバイザリー新型コロナウイルス感染症拡大にともない、福岡県にも「緊急事態宣言」が出され、市民生活・社会生活(活動)が大きく制限され、多くの医療機関にも影響が出てきています。
先週4月10日に行われた中医協では診療報酬上の議論が行われ、医師会を通じて「新型コロナウイルス感染症にかかる診療報酬上の臨時的な取り扱いについて(その10)」が出されました。4月14日、さらに「臨時的取扱い(その11)」として、Q&Aも出されています。
以前、3月26日、4月8日のコラムdeスタディにおいて、オンライン診療や電話再診について考えてきましたが、4月10日に通知された「臨時的な取り扱い(その10)」においては、以前の取扱いが廃止され、変更されたものもあります。お問い合わせの多いものですので、今回、現時点(4月15日現在の情報)において、整理したいと思います。
限定的な取り扱いであることにご留意ください。
まず、この内容は、「新型コロナウイルス感染症が急激に拡大している状況の中で、院内感染を含む感染防止のため、非常時の対応として、オンライン・電話による診療、オンライン・電話による服薬指導が希望する患者によって活用されるよう直ちに制度を見直し、できる限り早期に実施する。」とされたところにあります。時限的・特例的な対応であることに留意してください。
【A000初診料 注2 情報通信機器を用いた初診料 214点】
初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方をする場合には、当該患者の診療について、診療報酬の算定方法(平成 20 年厚生労働省告示第 59 号。以下「算定告示」という。)A000初診料の注2に規定する 214 点を算定することとされました。
また、その際、医薬品の処方を行い、又はファクシミリ等で処方箋情報を送付する場合は、調剤料、処方料、処方箋料、調剤技術基本料、又は薬剤料を算定することができます。
ただし、麻薬及び向精神薬の処方はしてはならないとされています。
「初診」の考え方は変わりがありませんので、継続中の疾患があれば、別の疾患であっても電話再診料の取扱いになります。
また、Q&A(取扱い_その11)を見ていくと、「オンライン診療を行う上」では、施設基準の届け出が必要です。ただし、「1月当たりの再診料等の算定回数の合計に占めるオンライン診療料の算定回数の割合が1割以下であることとする要件については、適用しないこととする」とされています。この患者割合以外の要件については満たしていく必要がありますので注意が必要です。
さらに、「新型コロナウイルス感染症が疑われる患者に対し、院内トリアージを行った場合には、「院内トリアージ実施料」も算定できるとされています。」 治療のために通院しているものであっても、新型コロナウイルス感染症を疑う場合も算定ができるものとされていますので、一度確認されてください。
なお、この場合には、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き・第1版」に従い、院内感染防止等に留意した対応を行うこと、その説明を本人・家族に行っていることが求められています。
この初診の場合の対応としては、以下の3点が留意点として書かれています。
① できる限り、過去の診療録、診療情報提供書、地域医療情報連携ネットワークまたは健康診断の結果等により、当該患者の基礎疾患の情報を把握確認したうえで診断・処方を行うこと
② 診療録等により、当該患者の基礎疾患の情報が把握できない場合は、処方日数は7日間を上限とすること
③ 麻薬及び向精神薬に加え、特に安全管理が必要な医薬品(いわゆる「ハイリスク薬」)として、診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤(抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤等)の処方をしてはならないこと。
また、実施にあたっては、
・初診から電話・情報通信機器で行うのは適していないこと、
・不利益な状況が発生するかもしれないこと
・急病急変時の対応方針
などについて、十分に説明し、その内容を診療録に記載することとされています。
また、先生方が「これは対面診療を行う方がよい」と判断した場合には、速やかに対面診療に切り替えることとされています。
【保険薬局での調剤及び電話等による服薬指導】
上記診療に基づき、処方箋を受け調剤した場合には、「調剤技術料、薬剤料及び特定保険医療材料料を算定することができる。」とされました。
また、その際に、電話や情報通信機器を用いて服薬指導を行った場合、その他の要件を満たせば、薬剤服用歴管理指導料等を算定することができることも明記されています。
【情報通信機器が認められている「医学管理料等」について】
慢性疾患を有する定期受診患者に対して、電話や情報通信機器を用いた診療及び処方を行う場合であって、継続的な医学管理を行う場合に、条件付きで「B000の2に規定する、許可病床が100床未満の病院の場合」の147点が月1回に限り算定できる」こととされました。
この特例的に147点が算定できる条件については、
「電話や情報通信機器を用いた診療」を行う以前より、対面診療において診療計画等に基づき療養上の管理を行っていて、かつ、「情報通信機器を用いた場合の算定が注に規定されている管理料等を算定していた患者」とされています。
ここに記載したもの以外にも、「保険証の確認」「一部負担金の支払い」について、具体的な方法については、記載されていません。
社会保障審議会では「オンラインによる保険証の資格確認」について検討されていますが、現状では運用できる状況にありません。現時点では画面上で保険証を見せてもらうなどして、確認するしかないかもしれません。
支払いに関しても、振込、現金書留、クレジットなどが考えられますが、どこまで対応が可能か、検討が必要だと思います。
<参考資料>
〇厚労省:事務連絡(R2.4.10)
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その10)
https://www.mhlw.go.jp/content/000621316.pdf
※スライド資料
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000620892.pdf
〇厚労省:事務連絡(R2.4.14)
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その11)
https://www.mhlw.go.jp/content/000621620.pdf
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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