【令和2年度診療報酬改定】回復期リハビリテーション病棟入院料について
長 幸美
アドバイザリー特定入院料のうち、今回は回復期リハビリテーション病棟入院料について見直されている内容を整理したいと思います。
回復期リハビリテーション病棟入院料については、リハビリテーションの実績を適切に評価に反映する観点から、実績指数等に係る要件を見直すとともに、日常生活動作の評価に関する取扱いが見直されています。
見直されている点は大きく分けて、以下の4つがあります。
1.実績要件の見直し
2.施設基準の見直し
3.日常生活動作の評価に関する取扱いの見直し
4.入院患者にかかる要件の見直し
順次内容を見ていきましょう。
【実績要件の見直し】
いわゆる「リハビリテーション実績指数」の見直しです。
「リハビリテーション実績指数」とは、リハビリテーションによる改善の程度を示す指標のことです。2016年度診療報酬改定で導入され、現在は、重症患者の受入れ割合とこの「リハビリテーション実績指数」の基準により、6段階に区分されています。
リハビリテーション実績指数は、仮に劇的に日常生活自立度が改善していても、入院期間が延びれば指数は低くなります。このため、早期退院が促進されている状況があります。
また、過去には入院時の評価において、実際よりも低く記録され、退院までのリハビリテーションの効果が出やすいようにするなどを行われている可能性がありました。これらを防止するために、「患者や家族にリハビリテーション実施計画書を用いて説明し、計画書を交付することを求めるように変更となりました。
今後2022年度以降の改定では、動画撮影により根拠資料とすることなど、検討されるのではないかと言われています。
(出典:厚労省「令和2年度診療報酬改定の概要(入院医療)」より)
【施設基準の見直し】
入院料1については、専任常勤の管理栄養士が1名配置されることが要件の中に入ってきました。そのほかの2~6については、「管理栄養士の配置が望ましい」とされています。これにより、「リハビリテーション実施計画書」の中の栄養項目の記載も
必要になってきます。(入院料2~6については、管理栄養士が配置される場合、実施することが望ましい。とされています)
また、「データ提出加算」については、すべての病棟について必須要件となりました。ただし、入院料5.6については、経過措置がついていますので、該当する医療機関はご確認ください。
【日常生活動作の評価に関する取扱いの見直し】
入院時及び退院時の患者のADLの評価に用いる日常生活機能評価について、FIMに置き換えてもよいこととされました。これにより、一連のものとしてすっきりとした形になると思います。
【入院患者にかかる要件の見直し】
入院患者に係る要件から、発症からの期間に係る要件が削除されています。
つまり、発症後しばらくたってから集中的なリハビリを行うために入院することが可能となりました。
上記以外にも、細かな人員要件や在宅復帰率などが設定されていますが、詳細な内容については、それぞれ、告示、事務連絡(通知)、疑義解釈等により、確認されてください。
<参考資料>
〇厚労省:令和2年度診療報酬改定説明資料等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00001.html
※05「入院医療」をご覧ください
〇厚労省:令和2年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00027.html
※告示及び事務連絡(通知)、疑義解釈をご参照ください。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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