【令和2年度診療報酬改定】地域包括ケア病棟入院料について
長 幸美
アドバイザリー地域包括ケア病棟において、今改定では、本来の機能をよく理解し「地域包括ケアシステムの構築」においてしっかりと役割を果たすことが求められています。
この「地域包括ケア」の本来機能とは、以下の三つの機能を指します。
① 急性期治療を経過した患者の受入れ(ポストアキュート)
② 在宅療養を行っている患者の受入れ(サブアキュート)
③ 在宅復帰支援
これらの機能を担っていく病棟であることを念頭に置きながら、今回の改定のポイントを見ていきたいと思います。
変更点は4点です。
1. 実績要件の見直し
2. 施設基準の見直し
3. 転棟にかかる算定方法の見直し
4. 届出にかかる見直し
【実績要件の見直し】
これは2点あります。
1点目は許可病床数が400床以上の病院について、同一保険医療機関内の一般病棟から地域包括ケア病床に転棟した患者の割合が6割以下であることとされ、この基準に適合しない場合は、100分の90に低減した点数での算定とされました。経過措置があり、2020年9月末までは基準を満たすこととされています。入棟経路を調べ、その間にどのように是正するのか、検討する必要があります。
2点目は、地域包括ケア病棟入院料(管理料)1及び3の実績にかかる基準の見直しです。自宅からの入院患者割合が、1割5分以上、前3月における在宅訪問診療料の算定回数が30回以上とどちらも基準値が増えています。それだけ、「地域で暮らす」ことへの支援をしてほしいということだと考えます。
(出典:厚労省「令和2年度診療報酬改定の概要(入院医療)」より)
【施設基準の見直し】
ポイントは、「入退院支援及び地域連携業務を担う部門の設置」が要件に入ってきたということです。ただし、疑義解釈(その1)にもありますように、入退院支援加算における部門と同一のものでよいとされています。こちらは経過措置が2021年3月末までとなっています。
(出典:厚労省「令和2年度診療報酬改定の概要(入院医療)」より)
【転棟にかかる算定方法の見直し】
DPC対象病院で、DPC対象病棟から、地域包括ケア入院料を算定する病床へ転床した場合、DPC点数表の入院日Ⅱまでの間は、DPC点数表で算定することとされました。該当する医療機関はご注意ください。
【届け出にかかる見直し】
許可病床数400床以上の医療機関については今後届出不可とされました。
これは、地域医療を担う病院と大病院について、地域医療構想の中での役割分担を明確にしていきたいというメッセージではないかと思います。ただし、2020年3月末日に地域包括ケア入院料を算定している場合は、現状のままでよいとされています。
【その他】
病棟の機能を最大限に生かし、地域における生活を支援していくという本来の地域包括ケアの意味合いから、「在宅に向けたリハビリテーション」の実施が要件となっていますが、そのリハビリテーションの提供の必要性について、患者の入院時に測定したADLスコア等を踏まえて判断することなども盛り込まれています。
また、重症度、医療看護必要度については、14%(Ⅱの場合11%以上)と引き上げられています。
いずれも、より重症の方を受入れ、在宅復帰に向けて支援することを求められているからだと思います。
その他にも、細かな見直しが入っております。また、経過措置が多いのも今回改定の特徴になります。告示、通知(事務連絡)、疑義解釈等をそれぞれご確認ください。
地域の中で「生活を支える」病棟として、地域包括ケア病棟の役割、何を求められているのか、等を再度確認していくようにしましょう。
<参考資料>
〇厚労省:令和2年度診療報酬改定説明資料等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00001.html
※05「入院医療」をご覧ください
〇厚労省:令和2年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00027.html
※告示及び事務連絡(通知)、疑義解釈をご参照ください。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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