【医療介護あれこれ】「オンライン診療の実際」セミナーより
長 幸美
アドバイザリー8月に入りました。梅雨が明けたとたんに、連日猛暑日が続いています。
さて、コロナ禍のためにしばらくお休みをしていた「クリニック向けスキルアップセミナー」をオンライン開催しました。今回は、コロナ禍において新たに注目されてきている「オンライン診療」について、お話をしました。
オンラインセミナーで「オンライン診療」を語る・・・という何とも今風な開催となりました。このオンラインセミナーのきっかけは、「オンライン診療」についてお問い合わせが増えてきたこと・・・です。
・・・というのが、新型コロナウイルス感染症にかかる診療報酬上の臨時的取扱いについて(その14)」で、医療機関に行かなくても治療継続・・・つまりお薬がもらえるようになったことがあります。
(出典:厚労省「新型コロナウイルス感染症にかかる診療報酬上の臨時的な取り扱いについて(その14)」より)
このことにより、先生方の中には、「コロナ禍が落ち着いてきても、患者さんが戻ってくるのか?」「受けなくてもよい診療があったのではないか」ということに患者さんたちが気付き始め、「受療行動に変化が出てくるのではないか」、という疑問が生まれているようです。
厚労省では、「afterコロナ」「withコロナ」の新しい日常を提唱され、その中では、「オンライン診療」についても議論されています。もうオンライン診療やオンライン相談等、Webの活用は避けて通れない時代に入ってきていると思います。
今現在は、コロナ禍の特例的対応として、上記画像のように初診に関しても点数がついています。「初診からオンライン診療で行うリスク」について説明をしてカルテに記録を残しなさいというルール(縛り)はあります。賛否両論あると思いますが、このコロナ禍において、やむを得ない措置だったと思いますが、初診に関しては、継続はしないのではと思っています。
一方で、「ファーストタッチ」としてオンラインによる相談は増えてくるのではないかと思います。受診できる前に医療者に相談する、というサービスの利用者は、私の周辺でも増えていますし、相談サイトをのぞいてみると、日を追うごとに相談の件数は増えています。このようなことを考えると、クリニックの新たな患者獲得に対し「間口を広げる」効果はあるように思います。
もう一つは、生活習慣病を始め、継続的な治療が必要とする患者、または家族のサポートに対するオンライン診療の可能性です。
私はアレルギー性鼻炎ですが、継続的にお薬を必要としています。お薬を継続していると、症状は抑えられているのですが、タイミングよく通院できずに、服用を中止するとひどい症状に悩まされるということを繰り返しています。
生活習慣病の方はもっと深刻で、気づかないところで、病状が悪化して行くことになると思います。自分の体でありながら、よくわからないうちに深刻な状態になっているというのが現状ではないでしょうか。心臓の発作や脳梗塞、クモ膜下出血等で救急搬送される方があとを絶たない状況があると思います。
こうした働き盛りの方で、生活習慣病等の慢性疾患の場合、オンライン診療で、時々状況を診てもらい継続的に投薬加療が受けられるということは、私は良い仕組みであり、実際に検査等ができるわけではありませんので、その分点数が低く設定されていますが、長い目で見ていけば、「長く当院の患者でいてくれる」ということであれば、双方に良い仕組みではないかと思います。少なくとも3月に1回採血等の検査を受ける仕組みと考えれば、患者としても治療の状態が分かり安心でしょう。
さらに、生活習慣については、食事・運動・睡眠等についてもとても重要になると思います。
令和2年度の診療報酬改定では、栄養指導についてもオンラインでの指導が可能になりました。ニコチン依存症管理料に関してはさらに包括点数を先払いしてもらうこともよくなりました。これは非常に大きな変化だと思います。
オンライン診療に関しては、各システム会社が、COVID-19対応のキャンペーン等で、初期費用の減額や免除等を行い、取り組みやすい仕組み等も作られています。こういった機会を活用して、オンライン診療のシステム(仕組み)を使ってみるのもよいのではないでしょうか?
今回のセミナーは弊社の顧問先様向けに開催いたしました。
セミナーの中では、各地で実際にオンライン診療を行われている先生方の情報等も共有させていただきました。今後もオンラインを使い、顧問先様向けのサービス提供を増やしていきたいと思っております。
<参考資料>
〇オンライン診療に関するホームページ(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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