【医療介護あれこれ】居宅療養管理指導料について
長 幸美
アドバイザリー在宅医療は基本的に「医療保険」で受けることができますが、一つだけ、介護保険に請求するサービスがあります。
それが「居宅療養管理指導料」です。これは、医師・歯科医師をはじめとする医療関連職が寝たきり等で通院ができない患者さんを訪問し、療養に必要な指導や健康管理などの助言を行うサービスです。介護保険のサービスでありながら、支給限度額の対象にはなりません。残念ながら、このサービス訪問診療や往診を行う先生方や事務職員さんはあまり知られていないんですね。つまり「先生方はやっているのに、算定ができていない」ケースが多い項目の一つです。今回はどのようなサービスなのか、調べてみましょう!
【居宅療養管理指導料とは・・・】
65歳以上で要介護1~5に認定されている方が対象です。要支援1・2の方は、「介護予防居宅療養管理指導」という名前で、同様のサービスが受けられます。
【サービスを提供する専門職は・・・】
医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士、など
これらの職種が自宅や施設を訪問し、その生活の様子を把握したうえで、よりよいサービス提供のためのアドバイスを受け、ケアマネジャーと連携してより良いケアプランの作成につなげていくためのサービスです。
このため、ケアマネジャーへの情報提供が必要になります。
【サービス内容は・・・】
■医師・歯科医師の場合
健康状態を継続的にかなりしたり、指導したりします。また、同居での在宅介護、一人暮らしの高齢者老・老介護などで困っている人に在宅介護のアドバイスをすることもあります。
■薬剤師の場合
医師や歯科医師の処方に基づいた薬を利用者の自宅まで届けて、その薬について説明をします。それだけではなく、前回まで服用していた薬の服用状況や、効果・副作用の初期症状の発言、健康状態や生活状況に関することを本人や家族にヒアリングして、状況を確認します。
薬が残っているようであれば、お薬カレンダーなどを設置して飲み忘れを防ぐ工夫をし、服用しやすいように工夫できるか医師に相談することも薬剤師の仕事です。
■管理栄養士の場合
医師の求めに応じて訪問し、利用者が健康的な生活を送れるように「栄養ケア計画」を作成します。「栄養ケア計画」とは、食事メニューや食事の方法を検討して、短期的又は長期的な目標を計画するものです。
適切に栄養をとれているか、利用者の食事に関するニーズや生活状況・身体状況の把握も必要になります。
また、本人に調理可能か、家族に時間的にも金銭的にも負担がかからない調理方法を提案するなど、配慮も必要です。
■歯科衛生士の場合
歯科医師の求めに応じて利用者の自宅を訪問して、要介護者や家族に対して、正しい歯磨きの方法をレクチャーします。また、高齢になると嚥下機能が低下してしまうことも多いため、嚥下機能の向上についてもアドバイスします。有床義歯がある方は、そのお手入れ方法などについてもアドバイスするものです。歯科衛生士さんの場合のみ、月4回算定が認められています。
【居宅療養管理指導を利用するときの流れ】
医師又はケアマネに相談するケースが多いともいます。
例えば、先生が診療中に
「この患者さんお薬はきちんと飲めているのだろうか」
「食事はきちんと食べているんだろうか」
「口腔ケアができていないな」
という疑問や状況が出てくることはありませんか?
そのようなときに、直接 薬剤師や管理栄養士、歯科医師等に連絡をして、訪問を開始してもらうケースもあるでしょうし、担当のケアマネジャーに連絡を入れてサービスを検討することもあるでしょう。
何はともあれ、ケアマネジャーへは、情報共有が大事だと思います。
また、介護保険事業になりますので、契約書等を準備する必要があります。
患者さんが生活保護の場合、保護課に事業所として届け出が必要になります。
いろいろと制約が多いものですが、在宅療養を支援していくうえでは、実際に医師・歯科医師をはじめ、多職種で協働し、連携しておられるのではないかと思います。特に在宅訪問診療を行う医師・歯科医師の皆さんは、患者家族やケアマネジャーあてにアドバイスしておられるはず・・・正規の報酬ですから、是非算定する方向で考えてみてください。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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