【医療介護あれこれ】在宅医療を支えるポイントを考えよう!
長 幸美
アドバイザリー地域包括ケアシステムを考えていく中で、「地域で暮らし続ける」ことを支えるには、医療的サポートが大事ではないか、ということを何度かお話してきました。それ以上に本人の意思や家族のサポートとともに「覚悟」が必要ですが、その「覚悟」をするためにはどんなサポートが受けられるのか、ということもとても大事になってきます。
家族だけで日常のサポートをすべて行うことは不可能といっても過言ではないでしょう。
つまり、患者が利用できるサービスは何か、ということを、患者の生活に寄り添いつつ提案していくことが必要です。つまり、「患者の生活と家族を支える視点」が必要になるということです。
さて、こういった視点をもつときに、医療スタッフと介護スタッフなど専門家と家族が、地域のなかで「Team」となって対応することが必要となりますので、当然のことながら「情報の共有と方針の統一」が必要になってきます。今日はそのポイントについて考えていきましょう。
このポイント、実は在宅医療を考えるうえでもとても大事なポイントとなります。
まず、Teamで共有すべき患者情報といえば、「患者氏名」「年齢」「病歴」「治療内容と経過」などが浮かんでくると思います。在宅で生活をしている方の場合は、ここに「患者の嗜好」「生活環境」「家族構成」「家族の生活様式」などが加わってくるでしょうし、さらに「患者自身が利用できる在宅サービスの種類」「利用できる回数」がわからなければ、その患者自身や家族を支えていくことはできません。
例えば、訪問診療が週3回しか入れないのか、週4回以上も可能なのか、訪問看護は医療保険で入れるのか、介護保険サービスが利用できるかどうか、介護保険が利用できる枠はどうなのか、ということがとても重要になってきます。
そこで必要になってくるのが、「年齢」「主病名」「ADL」「医療処置の有無」「居住場所」です。この5つの項目、ポイントになると思います。
例えば・・・
■50歳の第2号被保険者であっても、がんや進行性の神経難病等の厚生労働省が定める疾病等別表第7に該当する患者であれば介護保険を申請できますし、訪問看護は医療保険で利用できますし、訪問診療・訪問看護ともに週4回以上の訪問も可能です。
■30歳の介護保険の受給資格がない年齢の方で、ADLの状態が低ければ、身体障害者手帳や重度心身障碍者医療費助成制度の対象となる可能性もあり、取得できれば障害者福祉制度の利用も考えられます。当然一人で通院することは不可能でしょうから、訪問診療の対象にもなります。
■尿バルーンの留置など医療処置が必要な患者の場合、「厚生労働大臣が定める状態等別表第8」に該当する状態の患者であれば、週に1回90分以上の訪問看護が可能ですので、家族の負担は少し軽くなりますね。
■居住場所により、訪問診療・訪問看護の導入制限がある場合がありますが、末期の悪性腫瘍患者の短期入所生活介護(ショートステイ)利用中の訪問看護が可能になるなどの特例的な考え方ができる場合もあります。
患者の生活環境は十人十色、家族の置かれている状況も様々なため、何が最適かということは一言では言えないかもしれませんが、おひとりおひとりの状況に応じて、医療者・介護者が情報共有しどのようにサポートしていけるか、ということを考えていくことが、「地域での暮らし」を支える一番のサポートになるのではないでしょうか。
<参考>
■厚生労働大臣が定める疾病等別表第7 (出典:厚労省「訪問看護」)
■厚生労働大臣が定める状態等別表第8 (出典:厚労省「訪問看護」)
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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