源泉徴収と年末調整の今後
山下 祐樹
税務・会計自宅で昔の書類を整理していたところ、昭和50 年4 月の初任給の給与支給明細書とその年の年末調整の源泉徴収票を見つけました。初任給59,200 円、年間支払金額875,486 円、源泉徴収税額6,500 円、源泉徴収と年末調整は45 年前にも変わらず行われていました。
さて、源泉徴収と年末調整は、サラリーマンや公務員など個人が確定申告の手間を省き、税務署など国の徴税事務を簡素化するメリットがありますが、個人の税金に関する意識を希薄にするというデメリットがあります。
一方では、企業などの事務負担を減らし、給与所得者における納税意識の改革などの観点から、将来的に源泉徴収をした後の年末調整を廃止することも検討されていました。
ただ、現状のまま年末調整を廃止すると、個人での確定申告提出者の数が現在の3 倍以上に増えることとなり、税務署が対応できなくなるため廃止までは至りませんでした。
その代わりに「電子申告」が開始されましたので、これで年末調整は廃止かと思われましたが、本年から年末調整の電子化が始まり、更には、脱ハンコなども検討され始めました。年末調整は今後どうなっていくのでしょうか?とはいえ、サラリーマンや公務員などの給与所得者であっても、源泉徴収される所得税に意識を向けていくことで、税金の使い道にも意識が向くはずです。各個人が納税の意識を向上させることが、今後の日本に必要となってきているのではないでしょうか。
審理室
著者紹介
- 税務会計コンサルティング部 審理室 アドバイザー
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