【医療介護あれこれ】接遇レッスン「迷子の迷子の患者さん?」
長 幸美
アドバイザリーある医療機関での光景です。
<事例①>
スタッフ「案内します。・・・・・・・・」
患者さん「あの、どこに行くんですか?」「何をするんですか?」
スタッフ「・・・え?検査室です・・・」
<事例②>
スタッフ「(X線室から顔を出して) 〇〇さ~ん、どうぞ!」(すぐに引っ込む)
患者さん「・・・・?・・・・」
<事例③>
検尿コップを渡されて・・・
スタッフ「尿検査をしますね。はい、これに尿をとって出してください」
患者さん「あの・・・どこに出すんでしょう?」
スタッフ「ああ・・・トイレに置くところがありますから・・・」
皆さんの医療機関ではこのようなこと、ありませんか?
初めて行く医療機関であれば、どこに何があるのかわからないこともあります。いつも仕事をしている皆さんには、当たり前のことでも、患者さんにとっては未知の世界・・・
患者さんの立場に立って、考えてみましょう。想像力を発揮してみてくださいね。
はじめの事例①では、スタッフは、マスクとFACEガードをされた状況でした。ご年配の方を内視鏡の検査に案内されるようでしたが、よく聞き取れない状況があったようです。多くの患者さんがいる待合室で、この後しばらく押し問答が続いたのは言うまでもありません。スタッフはイライラされたのか、「だ~か~ら~、今から検査があるんです。こっちに来てもらっていいですか」と大きな声を出され、患者さんは、周りの目を気にされ、小さくなっておられました。
ご高齢の方にとって、マスクでふさがれた状況があると、いつも以上に聞き取りにくくなっています。例えば、ボードを活用して「耳」と「視覚」で一緒に説明をするなど、工夫が必要ですね。
ある医療機関では、今日の検査内容を大きなフォントで準備をされ、図で示しながら「これから検査で、この場所に行く」ということを説明されていました。ご高齢の方にも見やすい文字(フォント)もありますので、検討してみるといいかもしれません。
事例②では、どんな医療機関でも、ある話ですね。どうかすると呼出しシステムを使い、音声のみで「〇〇さん、診察室にお入りください」といわれている場合もあるようです。
こういった場合、ドアが閉まっていたりすると、ここを開けていいのかな・・・と不安になることもあります。また、患者さんによっては、「あ、名前呼ばれたかしら、私のことかしら・・・」と顔をあげたときには、もう誰もいなくて、待合室や受付の前をウロウロされる方もよく見かけます。
できることなら、診察サポートをされている方が、にっこり笑って「〇〇さん、お待たせしました、こちらへどうぞ!」と案内して差し上げると、気持ちよくストレスなく診察を受けることができますね。
事例③は実際に私が体験したことですが、待合室とお手洗いがある通路の間に扉があり、待合室には院内の表示が何もなく、診察室の方や入口などをウロウロして探した経験があります。受付でお尋ねすると、「あ、よく聞かれるんですよね。うちのトイレわかりにくいでしょ?」という言葉とともに、非常口へとつながるドアを開けて案内してくださいました。
分かりにくいと認識しているのか・・・と思って笑ってしまいましたが・・・。
患者さんの立場に立ち、院内を見渡して、トイレの表示などわかりやすいものかどうかを見直す必要があると思います。
医療機関にとって、忙しい現場ですが、患者さんの立場に立つと、不安がいっぱいの未知の世界が広がっています。寄り添う気持ちも大事ではないかなと思いました。
皆さんの医療機関はどうでしょうか?
患者さんにやさしい医療機関になっていますか?
これを機会に、院内のサイン(案内板)、マスクでの説明方法などを見直してみられては如何でしょうか?
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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