【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「時間外・休日・深夜加算と夜間早朝加算」
長 幸美
アドバイザリー診療において、「標榜時間」がどうなっているのか、というものはとても重要になっています。今日はこの「標榜時間」と一般的な「時間外・休日・深夜」の加算について考えてみたいと思います。
【標榜時間とは】
保健所及び九州厚生局に対し、診療日及び時間、休日については届け出が行われています。つまりその時間が標榜時間となります。「表示診療時間」という言い方もします。
医療法上では、この時間は医療機関の内外に掲示しておく必要がありますので、受付の方、診療報酬の請求を行っている方は、必ず確認してみてください。
【時間外・休日・深夜】
これらの加算については、診療体制を解いている状況から、診療できる体制にしたうえで診療を行うことに対し、その手間について点数が設定されているということになります。このため通常の時間以外・・・つまり夜間の時間帯や一般的な休日等に診療時間を設定している場合にはこれらの加算は算定できないということになります。
■時間外とは
「標榜時間外であって、休日、深夜に該当しない時間」と定義づけられています。
一般的には、標榜時間外であり、かつ下記の時間に該当する場合となります。
注意事項としては、医療機関の都合による時間外診療については、やむを得ない事情を除き、時間外加算は算定不可となっています。
■休日とは
対象となる休日については、以下の通り設定されています。
注意事項としては、対象患者が「急病等によりやむを得ない理由で受診した患者」であるということです。レセプト上では、病名や急性増悪等のコメントが必要になるということです。ここはポイントになります。
■深夜とは
対象の時間は、標榜時間外のうち、以下の時間帯と設定されています。
注意事項としては、診療時間又は診療体制が深夜の時間帯と重なる場合は、深夜加算は算定できません。また、対象患者については深夜の救急医療を担う医療機関であり、急病やむを得ない理由で深夜に受診した患者が対象となります。レセプト上では、病名や急性増悪等のコメントが必要になります。
【時間外特例医療機関】
時間外特例医療機関とは、専ら夜間の救急体制を担う医療機関のことをいいます。
つまり、①地域医療支援病院、②救急病院・診療所、③病院群輪番制病院・診療所、共同利用型病院などであり、都道府県の医療計画に記載されている救急医療機関が該当します。
この特例医療機関については、特例対象時間・・・つまり「時間外加算の標準時間」を診療時間とする場合でも、時間外加算の特例として加算が算定でることに注意が必要です。
【診療所の夜間・早朝等を診療時間とする診療所】
この夜間・早朝等加算は、病院勤務医の負担の軽減を図るため、軽症の救急患者を地域の身近な診療所において受け止めることが進むよう、診療所の夜間・早朝等の時間帯における診療を評価されたものです。
このため、標榜時間(表示診療時間)として地域に周知している時間であって、来院した患者を常に診療できる体制にある時間に診療した場合も算定ができます。
ここでの注意点は、あくまでも、「診療日」であるということです。
これは届け出は必要ありませんが、標榜時間がどのようになっているのか、というところが重要になってきます。(標榜時間内ですから!)
このほか、小児科を標榜されている場合は、この夜間・早朝の時間帯が「小児科標榜医療機関の特例」となり、点数設定がされていますので、該当される医療機関は、必ず確認して、請求漏れがないようにしていきましょう!
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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