【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「創傷処置」
長 幸美
アドバイザリー今回は、「J000 創傷処置」について、学んでいきましょう!
■創傷処置とは?
そもそも、創傷処置とはどのようなものでしょうか?
創傷処置とは、皮ふ・皮下に、何らかの原因による「創」・・・つまり「きず」があり、そこからの感染を防いで良好な治癒を助けるために、簡単な消毒や薬剤の塗布、ガーゼや絆創膏の被覆などをおこなう処置のことです。 切除や縫合を伴う場合は、「創傷処理」等といわれ、手術の項目になります。
■算定方法
創傷処置については、「創傷」の大きさにより、点数が変わります。
J000 創傷処置
・100平方センチメートル未満*1 52点
・100平方センチメートル以上500平方センチメートル未満 60点
・500平方センチメートル以上3,000平方センチメートル未満 90点
・3,000平方センチメートル以上6,000平方センチメートル未満 160点
・6,000平方センチメートル以上 275点
*1 入院中の患者以外の患者及び手術後の患者(入院中の患者に限る。)についてのみ算定する。
ただし、手術後の患者(入院中の患者に限る。) については手術日から起算して14日を限度として算定する。この但し書きについては、要注意です。
この「創傷の大きさ」については、包帯等で被覆すべき創傷面の広さとなります。
この場合、通知の中では、「同一疾病又はこれに起因する病変に対して創傷処置、皮膚科軟膏処置又は湿布処置が行われた場合は、それぞれの部位の処置面積を合算し、その合算した広さを、いずれかの処置に 係る区分に照らして算定するものとし、併せて算定できない。」ということが書かれています。
また、創傷処置等における患部範囲としては、「J000 創傷処置」「J053 皮膚科軟膏処置」の場合における診療報酬点数は創傷の治療による患部範囲の縮小に従って漸次減点すべきである、との通知も出されていますので、注意しましょう!
■併算定できない項目
① 同一部位の場合・・・いずれか1つのみにより算定し、併せて算定できない
創傷処置、皮膚科軟膏処置、面皰圧出法又は湿布処置が行われた場合は、いずれか1項目のみを算定することになります。
② 在宅指導管理を算定する場合・・・「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料、「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者については、創傷処置(熱傷に対するものを除く。)、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入の費用は算定できない。
この場合は、これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除くとされています。
③ 穿刺部位のガーゼ交換等・・・中心静脈圧測定、静脈内注射、点滴注射、中心静脈注射及び植込型カテーテルによる中心静脈注射に係る穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は、別に算定できない。
④ 軟膏の塗布又は湿布の貼付のみの処置では算定できない。
この中でも、「フランドールテープ等の冠血管拡張剤を添付した場合は、薬剤量のみの算定年、処置料は算定できない」ということが、通知として発出されています。
■併算定可能な場合
① 関節捻挫に対し、副木固定のみを行った場合・・・J000創傷処置により算定し、この場合の「副木」については、特定保険医療材料の項により、算定が可能です。
骨折がある場合は手術の項目になりますので、注意しましょう。
② ドレーンを挿入している場合・・・手術後の縫合創あるいは開放創に対する「J000 創傷処置」と「J002 ドレーン法」を合わせて行った場合は「術後創傷処置」と「ドレーン法」が併算定できます。
細かな内容を読んでいくと、読み飛ばしている内容などもあるのではないでしょうか?
今回は「創傷処置」について考えてみました。細かいことですが、カルテの中を見て、算定漏れや誤請求がないようにしていきましょう。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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