【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「公的医療保険」
長 幸美
アドバイザリー今日は公的医療保険についてみていきましょう。
日本では、「国民皆保険制度」の中で、すべての国民は何らかの公的医療保険に加入して保障されています。この仕組みは社会保険方式がとられ、国民は保険料を支払い、保険証を受け取っています。これは保険診療の流れの中でもご説明したことがあると思います。
(出典:厚労省「保険診療の理解のために(令和2年度版)」より)
さて、この公的医療保険には、どのような種類があるのでしょうか?
大きく分けて、3種類(被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)があります。
■被用者保険
会社等に雇用されている方々が加入する保険で、「職域保険」「社会保険」とも言われます。
この中には、健康保険(健保)、共済保険(共済)、船員保険、等があります。
もとになる法律は、健康保険法、各共済組合法、船員保険法、等になります。
それぞれに、協会けんぽや健康保険組合、共済については各省庁や地方職員共済組合等が保険者となります。
被雇用者と雇用主(会社)が保険料を折半し収めることになります。
■国民健康保険
都道府県や市区町村等が主体となり、その地域の住民で被用者保険及び後期高齢者に該当しない方が加入します。「地域保険」とも言われています。
■後期高齢者医療制度
高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、基本的には75歳以上の方が該当する医療保険です。昔の老人医療証に該当するものですが、現在は後期高齢者医療広域連合が保険者となり、別の保険になっています。
これらの基本的な保険については、法律に基づき、医療を受ける場合、国民は「一部負担金」を支払う義務があります。
年齢や所得に応じて、一部負担金の負担割合が決められています。
このような公的保険制度のおかげで、我が国ではどこにいても保険診療が受けられるようになっているのです。
次回は公費医療制度について、お話を進めていきます。
<参考資料>
■厚労省:保険診療における指導・監査
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shidou_kansa.html
○保険診療の理解のために(医科:令和2年度版)
https://www.mhlw.go.jp/content/000544888.pdf
※医科だけではなく、歯科、調剤についても公開されていますので、参照されてください
○保険診療の理解のために(歯科:令和2年度版)
https://www.mhlw.go.jp/content/000533069.pdf
○保険調剤の理解のために(調剤:令和2年度版)
https://www.mhlw.go.jp/content/000544889.pdf
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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