【医療介護あれこれ】処置薬剤と処置に使用する材料について(QAより)

長 幸美

アドバイザリー

私どもに寄せられる質問の中から、今日は処置の薬剤と使用する材料について、考えてみたいと思います。

処置にかかる薬剤料や通常使用する材料関係について、実費でもらいたいのだけれど・・・いいのか?という質問を受けることがあります。
同じような質問で、訪問看護等を依頼した場合に、訪問看護師が必要な材料を沢山取りに来るけれど、実費でもらってはいけないのか?
さらに、在宅自己注射等で、アルコール綿や手袋を沢山欲しがる患者がいて困っている・・・ということもお聞きすることがあります。

さて、皆さまの医療機関ではどのようにされていらっしゃるでしょうか?

結論から言うと、「必要最低限の衛生材料については、処置料や管理料の中に含まれているので、お渡しください。別に自費請求はできません」、・・・というのが私の答えです。
ではその根拠や理由を、点数表の通則等について読み解いていきましょう。

【処置の通則】
1、処置の費用は、第1節処置料及び第2節処置医療機器等加算、第3節薬剤料又は第4節特定 保険医療材料料に掲げる所定点数を合算した点数によって算定する。この場合において、処置に当たって通常使用される包帯(頭部・頸部・躯幹等固定用伸縮性包帯を含む。)、ガーゼ等衛生材料、患者の衣類及び保険医療材料の費用は、所定点数に含まれており、別に算定できない。

なお、処置に用いる衛生材料を患者に持参させ、又は処方箋により投与するなど患者の自己負担とすることは認められない。

2、特に規定する場合を除き、患者に対して特定保険医療材料又は薬剤を支給したときは、これに要する費用として、特定保険医療材料については「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」の定めるところにより、薬剤については「使用薬剤の薬価(薬価基準)」 の定めるところにより算定する。なお、この場合、薬剤費の算定の単位は1回に使用した総量の価格であり、患者に対して施用した場合に限り、特に規定する場合を除き算定できるものであるが、投薬の部に掲げる処方料、調剤料、処方箋料及び調剤技術基本料並びに注射の部に掲げる注射料は、別に算定できない。

従って、ガーゼや脱脂綿等の衛生材料といわれるものについては自費請求することはできません。さらにご丁寧に「なお書き」もあります。つまり、処置に必要なガーゼ等については、購入させ、持参させることも禁じられているのです。

【衛生材料とは】
「薬機法」の中に規定があるもので、簡単に言うと、医療・介護など健康に関わる目的で製造・使用される、主にディスポーザブルの材料です。
代表的なものとして、以下のようなものがあります。一般的にドラッグストアで販売されているものです。

・ガーゼ、脱脂綿、綿棒、綿球、アルコール綿
・包帯、伸縮包帯、粘着包帯、
・マスク、手袋、エプロン、PPT用品、
・絆創膏、サージカルテープ、ドレッシング材、  /等

【実費徴収のルール】
療養担当規則の中に、患者からの実費徴収のルールが規定されており、「給付と直接関係ないサービス等」については患者からの実費徴収が認められています。
しかしながら、この衛生材料は、医療提供に密接に関係し、「療養の給付と関係ないとはいえないもの」として定義づけられています。

この他には、手術のときの縫合糸等の通常使用する者、ウロバッグ代、骨折やねんざなどのときに使用するサポーターや三角巾、等も挙げられています。

実費徴収が認められるものとしては、以下のようなものがあげられます。
・文書料、
・診療録開示の手数料、
・診療報酬点数表上実費徴収が可能なものとして明記されている費用
(在宅医療にかかる交通費、薬剤の容器代等)
・医療行為ではあるが、治療中の疾病又は負傷に対するものではないものにかかる費用
(インフルエンザ等の予防接種、美容形成等)  /等

【実費徴収する場合の留意点について】
費用の実費徴収については、医療機関と患者の同意に基づき行われるものになります。
従って、医療機関内の見やすい場所に実費徴収にかかるサービス等の内容及び料金について、患者にとってわかりやすく掲示しておく必要があります。
また、患者からの費用徴収が必要となる料金については、患者に対し、徴収にかかるサービスの内容や料金等について明確かつ懇切丁寧に説明し、同意を確認の上徴収します。
一般的には、申込書や同意書の形式をとられている医療機関が多くなっています。
例えば、個室申込書、文書申込書の類になります。在宅医療になりますと、患者や家族の選択や介護保険に絡むこともあり、「契約」ということが必要になってきますので、自然と説明文書及び同意書というカタチで残っていくことになります。
徴収した内容については、7月の定例報告の際に厚生局に報告する必要があります。

私も経験がありますが、訪問看護師から
「家族がディスポの手袋をもっと欲しい、足りないといわれている」
「傷の状態が気になるから、1日に何回もガーゼの付け替えをしたい。ガーゼとテープ、ドレッシング剤を沢山希望されている」
と要求されたことがあります。
実際には、標準的治療を行う上で、必要な量をお渡しすることが求められているので、お渡しをすることになると思いますが、その方の処置等により本当に必要な量なのか?というところは、看護師に確認することが必要になるでしょう。
そんなに頻回にガーゼ交換の必要があるのであれば、処置の方法や被覆材等を考慮すべきかもしれません。患者さんが気にして、スグに剥いでしまうということかもしれません。その場合は、適切な対応に変更する必要があると思います。
例えば、日常的に「おむつ交換のときの手袋として使いたい」「水にぬれないのであれば、入浴時に家族の傷に貼って入浴させたい」というようなご家族のご要望等があるかもしれません。そういった場合については、ドラッグストア等に販売されていますので、お買い求めいただくように説明されるといいでしょう。

今回は、処置の薬剤と材料費・・・特に衛生材料の実費負担について、お話を進めてきました。皆さんの医療機関では、どのようにされているでしょうか?
保険請求上のルールを確認され、院内ルールや掲示・同意書等見直しをされてみてください。

医業コンサル課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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