【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「初再診料の時間外加算」

長 幸美

アドバイザリー

初・再診料の算定の他、処置や手術等についても標榜時間外にかかる規定が様々あります。ここでは「時間外加算等の要件」について、皆さんと考えてみたいと思います。

【時間外加算等とは?】
皆さんの医療機関は保健所や九州厚生局に「診療時間」の届け出を出されています。この「届出を行っている診療時間以外」で診療について、緊急で診療を行う必要があった場合に、その診療に対する評価として「時間外加算等」が算定できることとされています。

診療時間外にはその時間や曜日の特性に応じ、「時間外」「休日」「深夜」に分かれています。
この時間外等は、都道府県によっても多少取扱いが異なる事例があるかと思いますが、標準的時間としては以下の通りです。
■時間外等の標準算定例
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皆さんの医療機関が届出している「診療時間」以外であって上記表に該当する場合は加算の算定ができます。

【時間外特例医療機関の場合】
医療機関の中で、地域の夜間救急体制を担っている医療機関は別途「時間外の特例」として加算点数が設けられています。
また、この特例の特徴は、仮に診療時間内であっても、時間外にかかる時間帯には特例加算が算定できるという点です。ここは見落とされている方が多いので、ご注意ください!
■対象医療機関
次の機能のいずれかを担うものとして都道府県の医療計画に記載されている救急医療機関が該当します。
① 地域医療支援病院
② 救急病院・救急診療所
③ 病院群輪番制病院・病院群輪番制に参加する有床診療所・共同利用型病院

■時間外特例医療機関の場合の時間外等算定例
前提条件:診療時間が、平日8~20時まで、土曜日8~15時まで、日曜8~18時までの場合を想定したものになります。
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この場合、「標榜時間内」というところがポイントになります。
標榜時間外であれば、「時間外の標準」の考え方になりますので、ご注意ください。

【小児科標榜医療機関の場合】
小児科標榜されている医療機関は、6歳未満の乳幼児の診療に対して手厚い特例があります。親御さんの仕事に合わせ土日に診療日を設定されている先生方も多いと思います。また、小児科標榜されていれば、小児科以外の医師が診察をした場合も算定可能となります。もう一度算定要件等を確認されてみてください。
■対象医療機関
小児科を標榜していること(小児外科を含む)
■小児科標榜医療機関の特例算定例
前提条件:診療時間が、平日8~20時まで、土曜日8~15時まで、日曜8~18時までの場合を想定したものになります。
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この場合の注意すべきところは、日曜日を診療日としている場合、その診療時間内は小児科特例の休日加算が算定できるというところです。

【夜間・早朝等を診療時間とする診療所の場合】
診療所独自の点数で、届出の必要はありません。届け出の診療時間が夜間や早朝に設定されている場合に加算の算定ができます。
■対象医療機関
すべての診療所
■夜間・早朝等加算
前提条件:平日前提条件:診療時間が、平日8~20時まで、土曜日8~15時まで、日曜8~18時までの場合を想定したものになります。

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【終わりに】
初・再診料の時間外加算についてみてきました。今回算定できる診療報酬(点数)については記載していませんが、是非一度確認してみてください。
まずは自院の診療時間や標榜科目がどうなっているのかを確認することが大事になってきます。また、この考え方が、時間内・時間外のベースになってきますので、しっかり押さえておきましょう!
夜間・早朝等加算や小児科の特例などは、時間外の緊急受診が二次医療機関や三次医療機関に集中すること分散したい、できるだけ地域のかかりつけ医療機関に協力してほしいというところからできた加算です。算定漏れがないようにしたいものですね。
また、詳細については、診療点数早見表にてご確認ください。

<参考資料>
■診療報酬早見表(医学通信社):初・再診料の項、
参考「初診・再診・外来診療料の時間外加算等」より

医業コンサル課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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