【医療介護あれこれ】在宅医療③「訪問看護と連携しよう!」
長 幸美
アドバイザリー在宅医療を実施される先生からよく相談を受けるのが、「訪問看護師との連携」についてです。そこで、今回は「訪問看護との連携」に焦点を当てて、お話をしていきたいと思います。
■訪問看護の特徴
訪問看護とは、主治医の指示を受け、看護師などが療養を必要とする者の自宅や老人ホームなどの施設を訪問し、健康状態の観察や、病状悪化の防止・回復、緊急時の対応、必要な処置等を行われるサービスのことを言います。
また、サービス提供するのは、自院の看護師でもできますし、訪問看護ステーションの看護師等に依頼することもできます。訪問看護ステーションを利用する場合は、「訪問看護指示書」にて主治医が看護師に対しどんなことをするのかということを指示することが必要です。
■訪問看護は医療保険と介護保険の両方が使える!
訪問診療や往診は医療保険のみの医療サービスですが、訪問看護の場合は、医療保険と介護保険を使い分ける必要があります。
要支援・要介護認定者の場合、日常的な訪問看護は介護保険が優先されます。この場合、限度額いっぱいになったからといって、医療保険に切り替えることはできません。限度額を超えて部分については実費でいただく(10割負担)ことになります。
しかし、特定の疾患や状態の場合、医療保険を優先させることができます。次の項目でその内容を見ていきましょう!
■医療保険が優先される訪問看護とは?
介護保険の要介護認定を受けている方であっても「特別訪問看護指示書による指示期間」や「厚生労働大臣が定める疾病等別表第7」に該当する場合は、医療保険の訪問看護を利用することになります。もちろん介護認定を受けていない方は医療保険で訪問看護を行うことになります。
<厚生労働大臣が定める疾病等別表第7>
1. 末期の悪性腫瘍
2. 多発性硬化症
3. 重症筋無力症
4. スモン
5. 筋萎縮性側索硬化症
6. 脊髄小脳変性症
7. ハンチントン病
8. 進行性筋ジストロフィー症
9. パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって、生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る)
10. 多系統萎縮症(線条体黒質変性症,オリーブ矯小脳萎縮症 及びシャイ・ドレーガー症候群
11. プリオン病
12. 亜急性硬化性全脳炎
13. ライソーゾーム病
14. 副腎白質ジストロフィー
15. 脊髄性筋委縮症
16. 球脊髄性筋委縮症
17. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
18. 後天性免疫不全症候群
19. 頸髄損傷
20. 人工呼吸器を使用している状態
■在宅の頼もしい味方!
在宅を行う上で先生方の一番の心配事は、24時間365日の対応ではないでしょうか?特に看取り期に入られたかたや、重度な医療管理が必要な方を診られている場合などは、とても大きなプレッシャーだと思います。
そういったときは24時間対応の訪問看護ステーションの方がとても強い味方になってくださいます。
介護保険での訪問看護は、ケアプラン上に位置づけされていれば、毎日でも訪問看護が入れますし、状態が悪化した場合であれば、特別訪問看護指示書により2週間は医療の訪問看護でも毎日入ることは可能になります。
■まとめ~在宅生活の鍵は訪問看護との連携にある!
これは私の持論ですが、在宅生活の鍵は訪問看護との連携にあると思っています。
患者さんは、看護師さんに対しより身近に感じて相談もしやすいようです。
医師が頻回に訪問することは難しい場合でも、医療者の目で看護師さんから報告を受けることにより家族サポートが可能になると思うのです。訪問看護中に医療処置や状態変化に対するアドバイスを受けることも可能ですし、患者家族にとっては心強い存在です。
医療機関の看護師と違い、一つ一つを説明する手間が必要かもしれませんが、看取り期などかなり重症な患者さんを見ていく上では、とても重要になってくると思います。
これを機会に、ぜひ訪問看護師との連携、信頼関係を深めることを考えてみてください。
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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