【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「訪問看護の基礎」
長 幸美
アドバイザリーコロナ禍になり、「入院すると面会もできないし・・・在宅で暮らしたい」というニーズも増え、在宅医療を望まれる方も増えているように思います。その在宅医療のポイントとなってくるのが、「訪問看護」ではないかと思っています。今日はこの訪問看護の基本を一緒にみていきましょう!
■訪問看護の基本的事項
訪問看護は介護報酬と診療報酬(医療)のサービスがあります。
介護保険の認定を受けている場合、介護報酬での訪問看護が優先されますが、介護保険と医療保険の双方を理解し、適切な判断をしていくことが必要になります。
■訪問看護の目的
訪問看護は介護保険、医療保険により、その目的が違ってきます。
<介護保険の訪問看護>
介護保険では、在宅における「生活」を支援するためのサービスが主サービスとなります。このため、慢性期で状態が安定した利用者の利用上の世話を行うことと、身体異常の早期発見に努めるのが基本となってきます。
<医療保険の訪問看護>
一方、「急性増悪」した場合など、訪問看護師は医師に報告し、処置や注射など、医療的行為(治療)が行われることになります。この際は、訪問看護は「特別訪問看護指示」を受け、医療保険に切り替えて、診療の補助を担当することになります。
■医療保険の訪問看護を使うメリット
一般的に医療保険の訪問看護を行うことにより、患者負担が増加することが心配されるケースが多いと思います。しかし、介護保険のサービスが「生活の支援」を重点的に使えるようになり、また、頻回な訪問や長時間の訪問、一日に複数回の訪問が可能になるため、十分なケアができることにもなってきます。
一部負担金については、「身体障害者手帳」を取得することにより、抑えることもできますので、安心して利用できることになると思います。
医療保険の訪問看護が使用されるのは、在宅医療の中でも、重い疾患や状態の患者が多いと思います。
・がんのターミナル患者、神経難病患者
・人工呼吸器の装着患者、気管切開状態、
・急性増悪の状態、重度の褥瘡がある患者
・退院直後
ことに退院直後に集中して入ることにより、家族の不安をサポートすることもでき、生活の支援に繋がっていくことと思います。
■訪問看護の提供施設
訪問看護は「医療機関」だけではなく、訪問看護ステーションから提供する場合もあります。
訪問看護ステーションには、人員配置が決められており、「保健師、看護師又は准看護師(看護職員)」が常勤換算で2.5人以上であり、うち1人は常勤であることが求められます。一方医療機関では、指定訪問看護を提供できる適当数がいればよいとされています。
■事務職員の役割
最後に訪問看護における事務職員の役割を考えてみましょう。
訪問看護は介護保険で行う場合や加算算定など、重要事項の説明や契約を必要とする場合があります。これらの書類の準備や料金表の整備、訪問看護費等の計算など、とても重要な役割があると思います。
訪問看護については医療保険・介護保険のそれぞれの制度にその報酬が分かれていますので、それぞれの特性を把握しておく必要もあります。また、申し込みや相談を受けた場合の連絡調整、なども大事な仕事になると思います。利用者管理など、「看護専門職」でなくてもできる仕事はたくさんあります。チームの一員としてどんなことが必要なのか、考えて実行してみましょう!
今回は訪問看護の基礎として、基本的な事項を見てきました。皆さんの仕事を考えるうえで参考になると幸いです。
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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