【令和4年度診療報酬改定】入院医療のポイント「重症度、医療・看護必要度の見直し」
長 幸美
アドバイザリー今回の改定は、「連携」「機能分化」「効率化」が大きなキーワードです。
細かな評価の見直しや新設については、施設基準や算定要件が細かく、いつになく医療事務泣かせな改定だなと感じているのですが、2025年問題として「地域包括ケアシステム」を考えてきたものを、コロナ禍における見えてきた課題を盛り込み、進めてきているように思います。
コロナ禍では、病床は確保したけれど、受入れができないというような状況も見えてきて、外来・在宅における感染対応(診療)等を基本としつつ、対応を検討し、地域の中での連携による役割分担が求められています。
「急性期入院料1」においては、感染症を含む重症度の高い患者の受入れと手術の実施が求められ、そのための集中治療室の設置等が検討され、より重症な方の受入れにより、収益を確保できるように組み替えられてきています。
半面、審議会の中で「なんちゃって急性期」と表現されていた部分については、厳しい改定となりました。これは「重症度、医療・看護必要度」の見直しについても同様のことと思います。
■重症度、医療・看護必要度の評価方法を「必要度評価Ⅱ」へ移行
もともとの評価方法は「研修を受けた看護師による目視確認」である看護必要度評価Ⅰでしたが、前回の改定において、急性期入院料2,3については看護必要度評価Ⅱを要件とし、医事データを活用した実績評価を推奨されていました。
今回は許可病床数200床以上の急性期入院基本料1を算定する医療機関は「看護必要度評価Ⅱ」へ移行することが求められています。
■評価項目の変化
事前調査により、退院日にも3本以上の点滴ラインや心電図モニターをつけていることが問題となっていました。認知症対応についても評価項目から外され、内科の医療機関にとっては厳しいものになってきています。
主な見直しの内容は、
「点滴ライン同時3本以上の管理」⇒「注射薬剤3種類以上の管理」
「心電図モニターの管理」⇒削除
「輸血や血液製剤の管理」については、1点⇒2点へ見直し
となっており、より実際の医療行為について評価されているように思います。
■必要度評価割合の見直し
前述した見直し内容を踏まえて、若干、必要度の割合が下がってきています。
見直しの内容は以下の通りとなっていますので、ご確認ください。
(出典:20220304_厚労省「令和4年度診療報酬改定の説明会資料」より)
■まとめ
急性期入院では感染患者を含めた緊急患者の受け入れと集中的な医療提供が求められています。重症の患者を受け入れ、しっかりと治療して在宅へ帰していく役割です。
将来的には現在の評価から「看護必要度Ⅱ」での評価を進められていくのではないかと思います。これは、効率化の観点からも進められていくでしょう。
該当する医療機関以外でも評価方法を変えて読み替え、シミュレーションしてみてください。
<参考資料>
■厚労省:令和4年度診療報酬改定について
令和4年度診療報酬改定の概要「入院Ⅰ」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906906.pdf
※告示、通知もご参照ください。
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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