【医療介護あれこれ】社会連携とは?

長 幸美

アドバイザリー

先日、全国連携実務者ネットワークの「社会連携フォーラム」がWeb開催され、全国で活躍されている様々な立場の方からの実践事例をお聞きする機会がありました。

今回の改定でも、連携についてたくさんの見直しポイントがあり、地域包括ケアシステムを実践するための評価が多く盛り込まれていると感じています。
そして、その評価が施設基準の中にも入ってきています。このタイミングで、とても良いお話を聞くことができ、皆さんにも少し共有し、連携について考えてみたいと思います。

■次世代型連携モデル
「社会連携」という言葉を使い、地域包括ケアシステムを推奨されている鎌田剛先生のお話からフォーラムは開始しました。
常々、地域の中で生活し続けるためには、街づくりや地域との関係を再構築することがとても大事だと考えています。医療者や介護者だけで街の中での生活を支え切れるものではありません。
実際に認知症介護をしている中で、「これでいいのか?」「こんなことが起こるのか?」と疑問に思うことも多く、そんなときに専門職の力を借りつつ、地域の中で生活を継続していくという経験をしています。何か目的があり、外に出ていくこともありますが、途中で忘れてしまい、途方に暮れるということも目の当たりにすると、そんな方への声掛けがどんなにありがたいか・・・。

■みどりまち文庫
山形県鶴岡市のみどりまち文庫は、常設のコワーキングスペースを核に「医療」と「介護」だけではなく、地域と医療をつなぐ拠点になっています。私は昨年から、このコロナのおかげで、Webで繋がることができるようになり、私も会員に入れてもらい、様々なつながりをいただいています。
出会う仕組み、信頼できる人を見つける・・・私の仕事にも通じるところがあります。
しかしその仕組みの数がすごい!!

■とよなか縁結実
弊社が取り扱っている冊子「それいゆ」でも、みどりまち文庫とともに取材させてもらいましたが、地域の方を巻き込み、地域包括ケアの豊中モデルを実践されている重田さんは、看護師という資格を生かし、市民の身近な健康相談をはじめ、様々な活動をされており、医療者が地域に出ることを実践されています。
このような各地の取り組みを繋いでいけたら。と思ったりしています。

■京介食推進協議会
京都の老舗料亭の京懐石の専門家が、「食事」を通して家族とのコミュニケーションや生活の場を支えています。
病院では、嚥下が難しい患者さんは、ミキサー食や胃ろうからの流動食で補い、食事の時間が苦痛になるといわれる方も多かったです。私も実際に家族の介護をしていて、食事は本当に困ります。少しでも固いものがあると吐き出したり、箸先で器をおしやったり。
食事は楽しいもののはずなのに、いつしか苦痛になってくるというのは苦しい状態だなと思います。
介護報酬でも診療報酬でも、「口から食べる」ことに対して、評価がついてきていますが、この「食事」を通して家族との生活を支える、同じものを食べることにもっと視点を当てていけたらと思いました。
こういった取り組みは実は各地で広まっていて、みどりまち文庫でもそれ以外の地域でも「ハレの日のごはん」を一緒に食べるというような取り組みが起こっていますし、毎日とはいかなくても、ちょっとしたイベント感覚で活用できるのはうれしいですよね。

■わが街健康プロジェクト
私が特に注目している取り組みの一つです。
地域の医療機関が協働して、「医療機関とのかかり方」や「病気の予防や健康維持」などを学ぶ仕組みだけではなく、継続参加を楽しんでもらえるような仕組みづくりは素晴らしいなと思います。
医療者が年に4回病院から飛び出して他の医療機関の方とも共同してイベントを継続開催するのは、本当にパワーがいることだと思います。地域の医療を市民の皆さんにも知ってもらい、ポスター企画などにより、学生さんにも参加して活動することによって、きっと「自分たちが暮らしている街が好きになる!」が街づくりの原点になるのでは、と思いました。

■にちなん医療市民サポーターズ
日南塾において1年間かけて市民講座を開催され、その中に高校生が入って活動されていることをお聞きし、すごいな、と思っていました。県立日南病院の木佐貫先生が主催される「花立セミナー」に数回参加させてもらい、日南の商店街が少しずつ変わっていく様子なども目の当たりにして興味深々だったのです。
商店街を巻き込み、日南市(行政)と医療介護の現場をつないでいく活動はすごいなあと思いました。

■社会連携がなぜ必要か?
今回、日本全国の様々な活動を知る機会をいただき、それぞれに進化している様を拝見させていただきました。私自身の介護生活のなかで、介護者の孤立、社会活動に制限がかかることなど、在宅介護の難しさを感じています。医療・介護の方にサポートしていただいても、24時間の中のごく一部・・・常時付き添い支援している家族は、つながりたくても繋がれないことが出てきます。テレワークができるので、私は通常の業務を行うことができますが、一日だれともしゃべらないということも実際にあります。
そのような中で、今回のような活動を通して、地域を知ること、そして地域の方々の意識を変えることができるといいのではないかと思いました。
皆様の地域の活動もお聞きしたいですね!

医業コンサル課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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