【令和4年度診療報酬改定】かかりつけ医機能の評価

長 幸美

アドバイザリー

今回の改定は、クリニックなどの「かかりつけ医機能」についてもかなり突っ込んだ改定となっています。
2021年5月の医療法改正により、外来機能報告制度が創設されています。
これは2022年4月からスタートされるものですが、その目的とは・・・?

各医療機関に「医療資源を重点的に活用する外来」をどの程度実施しているかを報告してもらうもので、集めるデータは、抗がん剤を使う外来の化学療法や、日帰り手術、CTやMRI撮影の実施件数など(関連する診療報酬の算定状況から自動抽出)。ほかにも、紹介・逆紹介率、外来における人材の配置状況、高額な医療機器・設備の保有状況などに関する報告も求めるものになります。

さて、何かお気づきではありませんか?
「紹介受診重点医療機関」、この機能をどの程度実施しているかどうかを報告させるもの。とは考えられませんか?

病床機能報告はもともとありました。その結果と、NDBにより報告と実際のギャップを把握されているように思います。いくら自分の医療機関が「急性期」と言っていても、本来の機能はどうなんだ?・・・その実際に合わせて診療報酬の内容が変更されているように思えてなりません。今回の改定は、その見直しを「外来機能」においても入れていこうというもののように感じています。

この報告結果をもとに、外来機能を紹介受診重点医療機関とかかりつけ医機能と2つに分けていきたいのではないでしょうか?

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(出典:社会保障審議会資料「紹介受診重点医療機関の検討について」より)

■紹介受診重点医療機関
入院機能の強化や勤務医の外来負担の軽減等が推進され、入院医療の質が向上することを踏まえて評価を行う、ということが説明会での情報です。
紹介率及び逆紹介率で評価をされると考えられますが、救急搬送の数や手術の実施等が多い医療機関と考えられます。
「医療資源を重点的に活用する外来」は、医療機関が独自で判断するものではありません。
都道府県に手上げをするのですが、その後地域の協議の場において、協議されることになります。
つまり「医療機関はそういっているけれど、実際の機能はどうなの?」とだめだしされることがあるかもしれません。

■かかりつけ医機能
ほぼ8~9割の診療所及び小規模な医療機関はかかりつけ医機能に該当するのではないでしょうか?仮に、小児科、透析、眼科、耳鼻科、整形外科・・・様々な医療機能があると思いますが、重点医療機関にどの程度該当するでしょうか?
重点医療機関でない場合は、「かかりつけ機能を求められていると考えてもいいのではないかと思っています。

では「かかりつけ機能」はどういうものでしょうか?
日本医師会では、「日常行う診療のほかに、地域住民との信頼関係を構築し、健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健等の地域における医療を取り巻く社会的活動、行政活動に積極的に参加するとともに保健・介護・福祉関係者との連携を行う」と定義づけています。つまり・・・いろいろな場面で、気軽に相談できるドクターといえるのではないでしょうか?

■保険請求での評価は?
かかりつけ医機能を評価するものとして、以下のものがあります。今回、大きく算定要件や基準が見直されています。
・機能強化加算
・地域包括診療加算・地域包括診療料
・小児かかりつけ診療料
・在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料(在宅療養診療所病院)

主には、24時間対応を重要視した改定になっていますが、生活は24時間365日絶え間なく続いていくことを考えると、必然ではないでしょうか?
その間、自院だけでは対応できないこともあるでしょう!
そういった場合に地域の病院と連携してどのような対応をしたら、安心・安全につながるのか・・・ということが大事なのだと思います。

さて、皆さん、いかがでしょうか?
是非、「先生が考えるでしょ?」とは思わずに、医療機関に働く一員として、どんなことを求められているのか、考えてみてください。
そして同じ医療機関内の多職種で話をしてみてください。
それが、地域を支える医療の第一歩だと思っています。皆さんで考えていきましょう!!

医業コンサル課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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