【医療介護あれこれ】院内処方と院外処方(QAより)
長 幸美
アドバイザリー最近、クリニックのお客様から「院外処方箋を出しているけれど、インスリンを院内から処方するのはダメなの?」というお問い合わせを時々いただきます。
また、「院内で指導をして渡したいから、患者さんの処方すべてを院内に切り替えているけれど、大変だ!」というお話も伺います。
皆様の医療機関ではどのようにされていますか?
結論から申し上げると、在宅医療にかかる薬剤については、「処方」ではなく、在宅時医学総合管理料の中で使用する薬剤となるので、その薬剤のみ・・・今回の場合であれば、インスリンのみを院内でお渡しすることはできます。
今回は、院内処方と院外処方のルールについてみていきましょう!
■院内処方と院外処方の違いとは?
「院内処方」は、文字通り、診療を受けたクリニックや病院の窓口で直接お薬を受け取ることを言います。患者さんのメリットとしては、お薬をもらうときにわざわざ移動しなくてもよいことが挙げられると思います。
一方「院外処方」の場合、診療を受けた医療機関で必要な薬剤や使用量・使用方法・処方日数などを書かれた「処方箋」を出してもらい、患者さんはその処方箋を街中の「調剤薬局」にもっていってお薬を出してもらいます。この場合、わざわざ別の場所の調剤薬局に処方箋を持っていく手間がかかりますが、複数医療機関からもらった処方箋を「かかりつけ薬局」・・・つまり同じ薬局にもっていくことにより、服用状況や飲み合わせ等の確認を受け、重複投薬などを避けることができるメリットがあります。一包化などにより、飲み忘れの防止対策を図ることもできるようになります。
■院内処方と院外処方のルール
一連の診療の中で、院内処方と院外処方を同時に利用することはできないルールがあります。これは、一連の処方に対し、調剤をするときの技術料(調剤料・処方料・調剤技術基本料)を重複算定しないための決まりです。
したがって、風邪薬は院内で、血圧の薬は院外処方で・・・ということは、原則できないルールになっています。
仮に、特殊な薬剤のみを院内で処方する場合などは、院内処方の技術料については算定ができず、薬剤料のみの算定となりますし、なぜ院内で出さないといけなかったのか、理由をレセプトに記載することが必要です。
■質問にある「インスリン」の取扱いについて・・・
インスリンは「在宅自己注射指導」を受けて、在宅で使用する薬剤ということになり、算定は、診療区分14の在宅医療の薬剤の区分で算定することになります。したがって、処方箋料・基本調剤料・処方料等の区分での基本技術料は算定しないことになります。
・・・つまり、投薬ではないので、院外処方箋を発行した場合でも、院内からお薬を渡しても問題はありません。
同様の解釈になるのが、在宅緩和ケアや在宅中心静脈、在宅酸素、寝たきり在宅処置にかかる薬剤料になります。それぞれの在宅療養指導管理料の項目に含まれると規定されている処置や注射などについては、同月の手技料等の算定はできませんので、注意が必要です。
<参考>
〇在宅医療第2節「在宅療養指導管理料」の通則、及び各項目をご確認ください。
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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