【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座 「情報通信機器による診療について」
長 幸美
アドバイザリー令和4年度診療報酬改定で、オンライン診療が事実上解禁になったことは以前にもお話をしたことがあると思います。これは、「オンライン診療」という文言こそなくなりましたが、初診料・再診料・外来診療料の中に「情報通信機器を用いた初診・再診・外来診療料」として評価されています。
※コラム「オンライン診療について」をご覧ください。
さて、この施設基準について、少し見ておきましょう。
■算定要件
厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って情報通信機器を用いた診療を行った場合に算定することとされています。
また、患者の急変時等の緊急時には、原則として、当該保険医療機関が必要な対応を行うこととされていますが、夜間や休日など当該保険医療機関がやむを得ず対応できない場合については、患者が速やかに受診できる医療機関において、対面診療をおこなえるよう、事前に受診可能な医療機関を患者に説明したうえで診療録に記録することとされています。
① かかりつけ医の医療機関名
② 対面診療により診療できない理由、紹介先の医療機関名・紹介方法及び患者の同意
つまり、安全に医療提供が行えるように、事前に準備をするとともに、もしオンラインでの診療が不適切だ、対応困難だと判断した場合には、対面診療に切り替えることも必要になります。
■カルテの記録について
情報通信機器を用いた診療を行った場合においても、診療の内容を記録することは、通常の診療と同じです。具体的には、診療録には、「診療内容」「診療日」及び「診療時間」等の要点を記載することとされています。
■診療する場所
保険医療機関に所属する保険医が保険医療機関内で実施することが、原則とされていますが、保険医療機関以外の場所で診療を行った場合でも、事後的に確認可能な場所であれば、よいこととされています。
■オンライン診療が適さない症状
これは一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」等を踏まえ、適切かどうかを判断することになります。
また、同様にオンライン診療で使用できる薬剤にも制限があります。
ガイドラインをしっかりと読み、適切に実施することが求められています。
■オンライン診療を開始するにあたって準備すること
①まずは、「施設基準の申請」が必要です。
申請にあたっては、先生の研修修了が条件となっています。
研修はe-learning形式です。
※厚労省「オンライン診療に関するホームページ」の中に記載があります。こちらを参照してください、
② 施設基準の申請・・・各地方厚生局のホームページに申請書類があります。
毎月初開庁日に届け出をすると、その月の1日から算定ができるルールになっています。郵送の場合は厚生局必着ですので、注意してください。
なお、現在は押印省略できるようになっています。
コロナ禍により、オンライン診療に対する垣根が低くなってきています。
電話再診よりもオンラインで画面を通して顔を見ながらだったら、という先生や、場合によっては、家庭の環境がわかるから病院とは違った情報が得られるという先生もあります。
実際にオンライン診療を行った先生からは、「患者さんの状態を見て判断すれば、確かに治療中断はなくなるかもしれません。しかし、服薬しているかどうかなど薬剤師さんにどの程度お願いができるのか?」という声もありました。
情報通信機器を用いた診療~オンライン診療~について、評価がついたことにより、患者動向が変わることも視野に入れつつ、実践的な連携ができる体制が必要になるのではないかと思いますね。
オンライン診療を検討されているクリニックさまの参考になれば良いなと思います。
<参考資料>
〇厚労省「オンライン診療に関するホームページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html
〇九州厚生局「令和4年度診療報酬改定について」
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/iryo_shido/r04_shinryohoshu.html
〇診療報酬点数表:初再診料及び該当する医学管理料、在宅医療の項目をご参照ください。
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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