男女間の賃金格差、大企業を中心に開示を義務化へ
石井 洋
人事労務政府は2022年7月に女性活躍推進法を省令改正し、301人以上を常時雇用する企業を対象に、男女の賃金格差の公表を義務付ける方針を固め、7月に省令改正・施行する事となりました。施行後に終わる事業年度の分から公表することとし、例えば3月決算の場合は2022年度の実績を2023年4月以降に公表する事となります。
この方針は、日本の男女間賃金格差が世界の主要各国に比べて大きいことが問題の根底として存在し、管理職への女性登用がなかなか進まないこと、出産・子育てで退職や時間制約等を受けることにより、正規社員に戻りにくいという実態があります。現時点では、公表方法は企業単体ごとで、男性の賃金水準に対する女性の割合を開示させ、正規・非正規雇用別でも開示する方向性になっています。(自社のホームページに掲載することを想定)
今回の法改正は301人以上の企業を対象としていますが、こういった法改正はタイミングを見て、いずれ人数を緩和することは自明の理です(おそらく近い将来101人以上に緩和されます)。医療・介護業界の男女間賃金格差はまだ他業種に比べて小さい可能性はありますが、男女別に学歴の換算方法や初任給が違う、という運用はまだ残っているケースも散見されます。今後、合理的理由を説明できない賃金体系は淘汰されていく運命にあります。「賃金体系の透明性」について考える必要性がありそうです。
人事コンサルティング部 部長
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