【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「医療機関の人員配置標準」
長 幸美
アドバイザリー医療機関は、「医療法」により、診療所・病院等の医療施設として最低限の基準があります。
保険診療を行うためには、まず、この「医療法」における「医療施設」としての申請が必要で、そのうえで「保険医療機関」としての申請を地方厚生局に出すことになります。
施設基準による人員配置以前に、この「医療法に定められた人員配置を満たしておく必要があります。今日は、その「医療法」により定められている人員配置標準の考え方を確認していきましょう。
■医療法における人員配置標準の考え方
適正な医療を実施するためには一定水準以上の人員を確保する必要があることから、医療法では、病院及び療養病床を有する診療所において、有するべき人員の「標準数」が示されています。これが「人員配置標準」です。最低人員の基準ではなく「標準」とされています。ただし、医療法で定められている「標準数」であり、満たさない場合は「標欠」と言って医療法違反となります。
診療報酬上はこの人員配置標準を踏まえて、施設基準が定められており、より手厚い配置であれば「加算」、標準を下回る配置だと減算されるなどのペナルティがあります。
■人員配置標準の取扱い
病院・療養病床を有する診療所では、「標欠」があった場合は、直ちに業務停止とせず、都道府県による立入検査等の際に改善指導を行うこととされています。
ただし、人員配置標準数を著しく(1/2以下)下回り、「標欠」の状態が2年以上継続する場合など、都道府県医療審議会により措置をとることが適当と判断された場合は、都道府県知事が業務停止命令を行うことが可能です。
また、特定機能病院の場合は、従業者の員数に違反があれば、厚生労働大臣は「特定機能病院」と称することの承認を取り消すことができることとされており、注意が必要です。
■医療施設別、病床区分別の人員配置標準数とは?
医師数、(歯科医師数)、薬剤師数、看護師・准看護師数、看護補助者、栄養士については、標準数がありますが、放射線技師やPT・OT、事務職員については「適当数」とされています。
診療所(無床)もしくは一般病床の有床診療所の場合は、この標準数の規定がありません。
(出典:厚労省資料「医療法に基づく人員配置標準について」より)
■立入検査(医療法第25条第1項に基づくもの)
医療法(昭和23年法律第205号)第25条第1項の規定に基づく立入検査により、病院が医療法及び関連法令により規定された人員及び構造設備を有し、かつ、適正な管理を行っているか否かについて検査することにより、病院を科学的で、かつ、適正な医療を行う場にふさわしいものとすることを目的とする、とされています。
また、対象は医療法に基づくすべての医療機関です。
立入検査の詳細はまたべつの機会にお話ししたいと思います。
今回は、「医療法における人員配置標準」の考え方についてみてきました。
基準となる患者数は、前年の平均患者数です。保健所の立ち入り調査前に毎年調査票を記載されていると思いますが、診療報酬上の基準と別に、医療機関が適切な医療を提供するための標準的な人員数が医療法の中で定められているということ、標準人員なので、大きなペナルティはないものの、診療報酬上の減算や急性期等の基準取得時にはこの標準人員を下回っていないことなどが要件になる、など、おさえておいていただきたいと思います。
<参考資料>
〇医療法に基づく人員配置標準について
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/05/dl/s0524-4d.pdf
〇医療法による立入検査について(医政発0527第11号_令和4年5月27日)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220530G0060.pdf
〇医療法第25条第1項の規定に基づく立ち入り検査要綱
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb4849&dataType=1&pageNo=1#:~:text=%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%B3%95(%E6%98%
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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