在宅で点滴を行う場合の算定について(QAより)

長 幸美

アドバイザリー

在宅で患者さんを診ておられるときに、体調の変化に応じて、点滴を使いたいという場合があると思います。先日も、複数の医療機関の方から、在宅での「点滴」について、相談を受け、同様の事例の相談は増えてきています。

① 在宅の方からコロナ感染陽性が出た。近隣で入院受入れができず、在宅のまま診ることになったが、食事もとれない状態のため、点滴指示をしたいが、どうしたらいいか?
② 在宅の熱中症気味で脱水が強く疑われている患者に、点滴にて補液したいが、訪問看護にお願いすることができるのか?

コロナ感染拡大と猛暑により、体調を崩す方も多いのだと思います。
結論から言いますと・・・
この場合、ともに、訪問看護の「在宅患者訪問点滴注射管理指導料(C006-2)」により対応が可能と思います。ただし、この算定には条件がありますので、解説していきましょう。

■在宅患者訪問点滴注射管理指導料(C005-2) (1週につき 100点)
これは原則、訪問看護サービスを受けている在宅の患者であって、「当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医の診療に基づき、週3回以上の点滴注射を行う必要を認めたものについて、訪問を行う看護師または准看護師に対して点滴注射に際し留意すべき事項等を記載した文書を交付して、必要な管理指導を行った場合に患者一人につき週1回に限り算定する。」とされています

つまり・・・
対象患者は、「通院困難」であること・・・(原則、訪問看護が前提にある)
実施者は、「訪問看護師等」であること
訪問診療または往診で、「指示を出す」こと
患者に「週3回以上の点滴注射」が必要な状態であること
これらが指示を出すうえで、大事な前提条件となってきます。

<在宅患者訪問点滴指示書>
・有効期間・・・7日以内、(指示を行った日から7日間)
⇒例えば、8月1日に往診して、翌2日からの指示の場合・・・2日~8日までの7日間

<薬剤料等の算定>
薬剤料は算定できます。
在宅患者訪問点滴指示書に指示した回路等十分な保険医療材料・衛生材料の費用は所定点数に含まれる。
指示は出したものの、結果2回のみの実施になった場合でも、薬剤料は算定可能です。

<併算定できない項目>
・点滴等の注射手技料・・・訪問看護の所定点数の中に含まれます。
・在宅自己中心静脈栄養(C104)、在宅悪性腫瘍等患者指導管理料(C108)

算定については、訪問看護で3日目の訪問点滴時に算定するとされています。この場合、医師の点滴実施はカウントできません。あくまでも、「訪問看護師等」が点滴する、ということが算定の要件になっています。週3日以上実施できなかった場合においても、医師の指示が出ていれば使用した薬剤料は在宅の項目で算定ができます(薬剤は在宅医療の部に規定されている注射薬を用いた場合)ので、忘れずに算定しましょう。

また、多くの場合は、訪問看護の回数を増加する必要があると思います。特別訪問看護指示書が出ると思いますので、こちらの算定もお忘れなく!!

コロナ対応の場合は、臨時的対応により、日常的に訪問看護を受けていない方も、「コロナにより外出できない=通院できない」という判断がされ、特別訪問看護指示を出すことが可能です。また、電話での容体確認についても、算定項目がありますので、合わせてご確認いただければと思います。

<参考資料>
〇医学通信社「診療報酬点数早見表」
C005-2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料
「新型コロナウイルス感染症~診療報酬の臨時・特例的措置」 1664p~

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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