方向の示し方
長 幸美
医業経営支援医療機関のみならず、様々な場面で、「場所の案内」をすることがあると思います。
時々見かけるのが、あっち・こっち・そっちと指をさしていて、言われた患者さんはウロウロ・キョロキョロ・・・。指をさされたところにいた患者さんはびっくりして後ろを見る・・・。
ちょっと笑える状況を見かけます。皆さんは如何されていますか?
■すみません、「あっち」で待っててもらっていいですか?
本人は接遇講師が見ているわけですから、クッション言葉を使ったり、依頼形にしたりと工夫をしていたようなのですが、患者さんは指でさされた方を見て、 「どこで待ったらいいですか?」とお尋ねになりました。患者さんの場所からは、指をさした方向には壁しかなく、椅子もなかったのです。
さて、どうしたらよかったのでしょうか?
その職員さんは何度も指をさし、「あっちです」「こっちです」と・・・。
いよいよ、わけがわかりません。
■「あっち・こっち・そっち」ってどっち?
昔、「おかあさんといっしょ」にこんな名前の歌があったような記憶がありますが・・・(笑)
正しい言葉に直すと、「あちら・こちら・そちら」となりますが、そもそも「どっち(どちら)」を指して言っているのでしょうか?
いずれにしても、具体的ではありませんよね。
「あっち(あちら)」と「こっち(こちら)」は対称関係にある言葉です。
「あっち(あちら)」は自分(説明者)から遠い場所、逆に「こっち(こちら)」は近い場所を指します。そして「そっち(そちら)」は相手に近い場所を指します。
例えば、「(あちらの)廊下奥のドア」 「(そちらの)テレビ前のソファ」や「こちらの窓口」など具体的に示す必要があります。
■説明する場合は具体的に・・・
先ほどの事例の職員さんは、壁の裏にある中待合の椅子に座って待ってほしかったのですが、患者さんには伝わらず、「どこで待ったらいいですか?」と困惑されたのですね。この場合、どう説明したらよかったでしょうか?
壁の後ろ(中待合)に行くための入り口も見えないところでしたので、
「あちらの廊下に行かれますと左手に入り口がありますので、その入り口からお入りください」
若しくは、案内図を示し、
「現在の場所がここなのですが、あちらの廊下を進まれて、この入り口から~~」
と説明する方法もあるでしょう。
いずれにしても、具体的な場所を示してあげないと患者さんは迷子になってしまいます。
■「指さし」厳禁!
それと気になったのはもう一点。
人差し指を立てて「指をさす」という行為です。本人は何気ない動作だったと思いますが、方向を指す場合、手のひらを上に指をそろえて、手のひら全体で方向を指すようにしましょう!
自分の右側を案内する場合は右手、左側を案内する場合は左手を使い、交差しないようにします。これは相手に背中(お尻)を向けないための工夫です。案内するとき使ってみましょう!
医業コンサル課 長幸美
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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