生活習慣病管理料について

長 幸美

医業経営支援

今日は生活習慣病管理料についてお話をしていきたいと思います。

昨年令和4年4月の改定において、投薬が包括対象から外され、点数が引き下げられました。
薬剤料が別途算定できるようになったのです。また、多職種との連携による治療管理についても明記され、少し使いやすくなったのではないでしょうか?

生活習慣病管理料とは・・・?

診療所及び許可病床200床未満の病院において、脂質異常症・高血圧症・糖尿病を主病とする外来患者に対して、総合的治療管理を行った場合に月1回算定ができるものです。

生活習慣病の3大疾患である「脂質異常症・高血圧症・糖尿病」を主病とする患者さんの治療については、生活習慣に関する総合的な治療管理が重要であることから設定されたものです。つまり生活習慣を改善できれば。重度化防止に繋がるという視点から、大事な算定と位置付けられているように思います。

生活習慣病管理料は、以下の2点を行った場合に算定するものとされています。

  • 治療計画の策定
  • 服薬・運動・休養・喫煙及び飲酒等の生活習慣に関する総合的な指導及び治療管理

生活習慣病管理料の中には、「指導管理等・検査・注射」はすべて包括されています。

但し、例外で算定できる項目があります。

B001の20   糖尿病合併症管理料」
「B001の22  がん性疼痛緩和指導管理料」
「B001の24  外来緩和ケア管理料」
B001の27   糖尿病透析予防指導管理料」

この4項目とは併算定ができますので、確認の上、算定漏れがないようにしましょう。

B001-3_生活習慣病管理料

1脂質異常症を主病とする場合570点 
2高血圧症を主病とする場合620点 
3糖尿病を主病とする場合720点 年1回程度の眼科受診を指導する
インスリン導入前であること
B001-3生活習慣病管理料(令和4年4月度改正版)

血糖自己測定指導加算

自己血糖測定器加算(500点)は糖尿病を主病とする患者に対し、患者教育の観点から血糖自己測定器を用いて月 20回以上血糖を自己測定させ、その検査値や生活状況等を報告させるとともに、その報告に基づき、必要な指導を行い療養計画に反映させることにより算定できる、とされています。

・対象患者・・・中等度以上の糖尿病★(2型糖尿病の患者で、インスリン製剤導入前の患者)
         ★中等度以上の糖尿病患者とは、HbA1cがJDS値で8.0%以上(NGSP値で8.4%以上)の者である

・算定要件・・・報告させた自己血糖測定結果に基づき、必要な指導を行った場合に1年に1回に限り 
        自己血糖測定指導加算(500点)を算定できる

外来データ提出加算

令和4年の改定で、外来でも、在宅医療及びリハビリテーションにかかるデータを提出することに対し、外来データ提出加算(50点)が新設されました。「A245_データ提出加算」の届出が行われていない医療機関について、継続的にデータを提出することに関し評価がついているものです。

この外来データ提出加算は施設基準の届出が必要なのですが、詳細に関しては、別の機会にお話ししたいと思います。

算定要件

  • 治療計画書の策定・・・4か月に1回以上(交付)
  • 初診料算定月は算定ができません。

また、糖尿病を主病とする場合、患者の状態に応じて年1回程度の眼科受診を指導することが必要要件となっています。なお、在宅自己注射指導管理料・・・つまりインスリン等の自己注射を行っている患者には算定できません。

当該治療計画に基づく総合的な治療管理は、看護師、薬剤師、管理栄養士等の多職種と連携して実施しても差し支えない、とされています。指示内容については診療録の中に記載しておきましょう。

また、患者の容体が悪化した場合、翌月に生活習慣病管理料を算定しないこともできます。患者の状況に合わせて、同じ患者さんの中でも算定する、しないを決めることが出来るのも特徴の一つです。

指導管理の内容は?

療養計画書の内容に沿って計画を立てていくことになります。

療養計画書は、「当該患者の治療管理において必要な項目のみを記載することで差し支えないが、糖尿病の患者については血糖値及びHbA1cの値を、高血圧症の患者については血圧の値を必ず記載すること」、とされていますので注意しましょう。生活習慣病管理料の初回の様式は別紙様式9「生活習慣病 療養計画書_初回用」、別紙様式9の2「生活習慣病 療養計画書_継続用」として、雛形が準備されています。

 ※生活習慣病療養計画書の雛形はこちら
   (21ページ目(初回用)と22ページ目(継続用))

生活習慣病管理料を算定している患者に対しては、少なくとも月1回以上の総合的な治療管理が必要とされていますが、変更がない場合はこの限りではないとされています。

但し、4か月に1回はこの書式を交付して、写しを診療録に添付しておく必要がありますので、ご留意ください。

おわりに・・・

点数が高いためになかなか算定し辛い・・・というお声をお聞きするのも、この「生活習慣病管理料」です。なんだか面倒くさそうだなあ・・・とよく言われるのですが、ほとんどの先生方や医療機関で、実際に実施しておられることが多いのではないかと思います。具体的に「療養計画書」というカタチにして治療管理することにより、患者さんの意識も変わってくることも考えられますし、看護師さんとのかかわりや患者教育の部分でも、より踏み込んだ指導等を行うことも可能ではないかと思います。
一度考えて見られては如何でしょうか?

<参考資料>

〇医学通信社、社会保険研究所 診療報酬点数早見表「B001-3 生活習慣病管理料」より
 ⇒厚生労働省「別表第一_医科診療報酬点数表 」91p~(令和5年5月29日確認)
       「別添1_医科診療報酬点数表に関する事項」166p~(令和5年5月29日確認)
       「別紙1_診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」 
          療養計画書の雛形 21.22p

2023年5月29日

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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