企業の賃上げの動向~「地域企業における賃上げ等の動向について」より~
佐々木 大
アドバイザリー令和6年4月22日、財務省が「地域企業における賃上げ等の動向について」という特別調査の結果を公表しました。本コラムでは、この内容に触れていきます。
■「地域企業における賃上げ等の動向について」(特別調査)とは
財務省が、地域企業における賃上げの動向について把握するために実施した調査です。全国計1,125社に、2023年度・2024年度の取り組みを確認しています。
財務省「地域企業における賃上げ等の動向について」より抜粋
サンプル数も多くはなく、地域や業種に偏りがあることは否めません。また賃金の実データの統計ではなくヒアリングがベースとなっています。あくまでも参考程度にとどめておく必要はありそうです。ただ、2024年4月5日時点の状況について回答を収集し集計しており、速報としての価値があります。
■調査結果に見る賃金引き上げの動向
調査レポートによると、2024年度にベースアップまたは定期昇給を実施する企業の割合は、前年度からそれぞれ増加しています(ベースアップ70.7%、定期昇給81.9%)。特徴としては、ベースアップを実施する中堅・中小企業の伸び幅が大きくなっています。
財務省「地域企業における賃上げ等の動向について」より抜粋
「ベースアップと定期昇給を合わせた賃金の引き上げ率」では、「5%以上」と回答した企業の割合は大企業で53.8%、中堅・中小企業等で24.4%となり、前年を上回る結果となりました。
財務省「地域企業における賃上げ等の動向について」より抜粋
人件費の価格転嫁について、一定程度以上できたとする大企業は29.8%、中堅・中小企業は32.4%となった一方で、できていないとする大企業は44.6%、中堅・中小企業は50.2%という結果になっています。
財務省「地域企業における賃上げ等の動向について」より抜粋
■いま中小企業がやるべきこと
一般的に中小企業は、大企業や中堅企業に比べると資金力で劣ります。「無い袖は振れない」ため、ベースアップや昇給も限界があります。価格転嫁が容易ではないことは、中小企業経営者の皆様であれば痛いほど理解されていると思います。「どうすればいいんだ。」そう感じている経営者の方々も少なくないように感じています。
中小企業の強みは「小回りが利く」ことです。経営者が決めて動けば、大きな企業より素早く方針を転換し、前に進むことができます。小回りを利かせるためには、経営者自身がPDCAサイクルを細やかに回していくことが重要です。
弊社のサービスのひとつに「マネジメント・アドバイザリー・サービス」があります。これは、経営者の皆様がPDCAサイクルを回す際に、アイデア出しや目標設定の「壁打ちの相手」をさせていただくものです。財務的な根拠とともにミーティングをするので、ファクトを確認しながら「次の一手」を検討することができます。是非、ご相談くださいませ。
[参考文献]
■「地域企業における賃上げ等の動向について」(特別調査)財務省(2024.4.22) https://www.mof.go.jp/about_mof/zaimu/kannai/202401/tokubetsu.pdf
■「マネジメント・アドバイザリー・サービス」 佐々木総研
https://www.sasakigp.co.jp/management
2024年4月25日
著者紹介
- 佐々木総研グループ 代表
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