最低賃金の引上げについて

石井 洋

人事労務

福岡県の最低賃金は、令和6年10月5日より992円となりました。今年のアップ率は昨年比51円アップ(5.42%)とかつてない大幅な引き上げになっています。そのため、自社の賃金が最低賃金を割っていないか、必ず確認するようにしましょう。 

今回は、月給者が最低賃金を割っていないか、月給者の時間単価の計算方法を解説します。 

【確認手順】 

  1. 自社の最低賃金の対象となる賃金は? 
  1. 最低賃金の対象となる賃金を何で割って時間単価を出せば良いのか? 

参考図 

参照:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43898.html
確認日:令和6年10月10日 

1.【最低賃金の対象となる賃金】 
〇基本給 
〇各種手当(皆勤手当、通勤手当、家族手当は最低賃金の対象外) 
※各種手当の中には、処遇改善手当(月額にて毎月支払われている場合)も含みます。 
ただし、以下をご参照ください。 

参照:介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(第3版)令和6年6月20日 
確認日:令和6年10月8日 

2. 【最低賃金の対象となる賃金を何で割って時間単価を出せば良いのか】 
基本的な計算式 
1で計算した月給額÷1か月の平均所定労働時間数=時間単価≧最低賃金  

1か月の平均所定労働時間数の出し方 

  1. 1日の労働時間が決まっている場合(例:毎日8時間で、年間260日稼働) 
    1か月の平均所定労働時間数=1日の所定労働時間(8時間)×年間の所定労働日数(年間260日等)÷12か月 

    1日8時間で週5日勤務の会社、年間稼働日260日の場合 
    8時間×260÷12=173.33 

    例)基本給17万円、皆勤手当1万円、家族手当8,000円の場合 
    皆勤手当・家族手当は最低賃金対象外のため、基本給17万円で計算 
    170,000÷173.33=980.78円 
    ⇒福岡県の最低賃金992円を割る、となります。 

    解決方法例 
    〇皆勤手当を基本給に統合し、皆勤でなくとも皆勤手当1万円が基本給として支給されるようにする。 
    〇基本給を増額、もしくは労働時間を減らす。 
  1. 1日の労働時間が決まっていない場合(変形労働時間制、半日営業がある等) 
    この場合、年間の労働時間数を出して計算する方法しかないと考えます。 
    〇病院の場合(変形労働時間制の場合) 
    各月で設定された所定労働時間を出して、1年間合計して計算します。 
    例)1月157.5時間、2月150時間、3月165時間、4月157.5・・ 
    といった形で1か月の稼働日数から各月の時間計算し、1年分を出します。 
    1~12月の合計時間÷12か月=1か月の平均所定労働時間数 

    〇クリニック(半日営業ありの場合) 
    例)月~水・金 フルタイム(8時間)、木・土曜半日(4時間)の場合 
    1ヵ月の月~水・金の稼働日×8時間+1か月の木・土曜の稼働日×4時間 
    を計算し、1年間を合計して計算します。 
    1~12月の合計時間÷12か月=1か月の平均所定労働時間数 

2024年10月8日

著者紹介

石井 洋
人事コンサルティング部 部長

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