接遇レッスン~心に残る応対できていますか?~
長 幸美
医療介護あれこれ弊社の職員向けに外部講師を招いて「接遇研修」を開催しました。
講師は株式会社リエゾンの吉原美保先生。北九州・福岡を中心にMCとして活躍中で接遇研修を中心とした社員研修も手掛け、ご活躍中の先生です。
私どもの事務所では、「経営のよろず相談屋」を価値基準として、お客様に寄り添い、お客様と一緒に解決の糸口を考える・・・そんな存在になりたいと日々活動しています。
では、皆さんどんな人だったら、「そうだ!佐々木総研に相談してみよう!!」と思ってもらえるでしょうか? そんなことをあれこれ考えていたときに、たまたまご紹介いただいたMCで接遇講師の吉原先生とお会いして、お話ししていくうちに・・・吉原美保先生の接遇研修を受けてみたい!!!と思うようになりました。
そのような出会いがきっかけで、弊社職員向けの接遇研修を実施してもらうことになりました!
今回のコラムは受け売りが多めです・・・(笑)
クリニックの皆さんにとっても、我々にとっても、この「コミュニケ―ション」スキルはとても大事なものです。一緒に考えてみましょう!
目次
テーマは「より一層の信頼を築いていくための”プラスα”の心配り」
私たちは、毎日様々なヒトと会い、コミュニケーションをとりつつ生活をしています。
朝、お会いすると「おはようございます」
お昼の場合は「こんにちは」
何かを依頼したら、「お願いします」
そして・・・「ありがとう」
いろいろな場面で出会う人と挨拶をかわし、言葉をかわします。そしてかなりの時間を仕事に使い、その中ではひとりきりで仕事をすることは少ないのではないでしょうか?
あなたの応対が、会社の信頼につながる
私は、これまでも銀行という組織の中で、また病院の一職員として仕事をしてきました。
そして今でも「佐々木総研」という組織の中で仕事をしています。
どの職場でも感じていましたが、同じ仕事をしていても、楽しそうな人・不平不満が多い人、よく相談を受ける人とあまり相談されない人がいらして「聴いてくれたら教えてあげたのに」「言われたとおりにやっているのに」というような言葉をよく耳にします。
しかしながら「聴かれたから教える」「言われたからやる」というのではなんだかやらされた感満載で、楽しくないし、前向きになれないし・・・なんだかちがうなあ~と思ってしまいます。
もう一歩踏み込んだ心遣いができると、お互いに気持ちがいいと思いませんか?
皆さんが相談したくなる人、一緒に仕事をしたい人ってどんな人でしょうか?
あなたへの評価は、Backにある会社への評価
チョッとドキッとするフレーズですよね。
私はあるとき接遇研修の打ち合わせをしているときに、「第一印象は大事、そして第二印象はもっと大事」という話をいたしました。そのときに、「あなたの言う接遇は、自分をよく見せようとするだけではないか?」「うちは職員をよく見せたいという思いはない」といわれたことがあります。
私は、なんということを言う人だろうとびっくりしました。
私自身「佐々木総研」のこれまでの実績や信頼のもとでお仕事や相談をお受けしていることを肌で感じています。その信頼はどのように築いてきたのでしょうか?
これまで働いてきた方々が少しずつコツコツと積み上げてこられたもの、だと思うのですよ。
そんな佐々木総研の一員として働くことに喜びを感じつつ、その信頼をほんのちょっとした言葉やふるまいにより左右されるとしたら・・・そう思うと考えてしまいますよね。
だって、信頼を失うのはほんの一瞬のことですから。
言葉づかいで、あなたの評価が変わる
「敬語は何のために使うのでしょうか?」こう問いかけられると、
「相手に対して尊敬の意を伝えるためのもの」とお答えになる方が多いと思います。
言葉づかいは丁寧であっても、また、明るい挨拶をしたとしても、何かをしながら、つまり「~ながら接客」だったとしたら、それはうれしくないですよね。挨拶も同じです。
「挨拶をする」「敬語を使う」ことが大事なのではなく、相手をしっかりと見て、相手に届く挨拶、心のこもった言葉が大事だと思います。相手に届けようと思えば、何かをしながらだと、誰に対して言っているのか・・・わからないですよね。
使わない方が良い言葉~使うと信用を無くす言葉~
「~~の方(ほう)ですね」「よろしかったでしょうか?」「~になります」「大丈夫です」「お名前頂戴してよろしいでしょうか」「なるほどですね」・・・皆さん、あまり意識せず使っておられるのではありませんか?
いずれもファミレスやコンビニなどでよく使われる言葉ですよね。
なんとなく敬語に聞こえ、何となく丁寧なふうに聞こえ、何となく初心者でも使いやすい言葉・・・。
え? 何か間違えているの?・・・と思ったあなた・・・少し見直しをしてみましょう。
~の方(ほう)・・・は方角を表す言葉です。例えば「請求書の方(ほう)になります」「領収書の方(ほう)です」となると、請求書の方角とはどの方角になるのでしょうか??
「よろしかったでしょうか?」・・・何故過去形なのでしょうか?
「今日のお支払いは○○円になります」・・・「~なる」は時間経過を表す言葉です。
「大丈夫です」・・・「大丈夫」という言葉は健康状態が深刻でないことを表す言葉です。よくコンビニやスーパーなどで、「お持ち帰り用の袋は大丈夫ですか?」と聴かれ、つい「大丈夫です」と答えることがありますが、本来の意味を考えると、「お持ち帰り用の袋は深刻な状態ではないですか?」となることを考えると、なんだかおかしいですよね。
「お名前頂戴できますか?」・・・私の元職場の上司はこういわれると必ず、「何ということを!私の名前はあげられませんぜ!」と仰っていました。それを聴くたびにあららそんな言い方しなくても・・・と思っていましたが、お名前は固有名詞ですので、簡単に差し上げることはできませんよね。
住所や電話番号も同様ですね。
「なるほどですね!」・・・「なるほど!」という言葉は、感嘆詞で、「ほう!」「へえ!」というのと同じようなものなのです。そう考えると、「ほうですね!」「へえですね!」とは言いませんよね。「なるほど! 仰る通りですね」「なるほど! 素晴らしい取り組みですね」などと、省略しない方がいいですよね。
積極的に使ってほしい言葉
感謝の言葉を伝えるときの「ありがとう」、そして「すみません」という気持ちは積極的に使ってほしい言葉です。そして単に「ありがとう」だけではなく、「ご親切にありがとうございます」「ありがとうございます、助かります」など一言たすようにするといいですね。
また「〇〇さん」と親しみを込めて名前を呼び掛けるようにしましょう!
名前を憶えてもらい呼んでもらえるということは、うれしいものですよね。
人に安心感を与えるコミュニケーションには聴き方も大事!
言葉づかいのお話をしてきましたが、実はこの言葉づかい以上に大事なものがあります。
それが「聴く」ということです。
皆さんは、なぜか話が続かなくて途中で気まずい沈黙になってしまったり、
逆になぜかいつも以上に気持ちよくすらすらと話ができたり・・・というような経験はありませんか?
話し上手は聴き上手といいます。聴き方ひとつで話しやすさに随分差が出てきます。
言葉は手段・・・聴き方によって話し手の話を引き出すことができるのです。
相手との信頼関係を深める会話
あなたの話をしっかりと聴いていますよ・・・ということをしっかり表現することが大事になります。
相手との信頼関係を深めるためには、「聴いているよ」ということを表現することも必要です。
聴いていること・・・それも「興味を持って聴いているよ」ということを伝えるためには、ノーリアクションではだめですね。あなたの話をちゃんと聴いていますよ、というリアクションとしては、「ハイ」「ええ」という相槌だけではなく、共感をこめた一言や「こだま」・・・つまりオウム返し(復唱)、そして「~~ということですよね」と要約して確認する・・・こういった聴き方がとても大事になります。
聴いていることを伝える聴き方
特に電話での応対の時などで、「もしもし?聞こえていますか?」といわれたことありませんか?
この時、皆さんはお返事(相槌)が上手にできていなかった可能性があります。
ノーリアクションでは「あれ?この人聴いてくれているのかな?」と不安になり、「もしもし?聞こえていますか?」ということになるわけですね。
電話の場合は相手の表情を見ることができません。つまり、視覚による情報がない状況で話をしないといけないので、声のトーンや口調、言葉だけで伝える必要があるわけです。
聴いているよということを明確に伝えるためには、「はい」「ええ」「そうですね」と相手に聞こえるように声に出す必要が出てきます。単に頷いても見えませんから、相手には伝わりません。
また、電話ではこちらの様子が見えないからといって「~~しながら」対応したり、「めんどくさい」ということを考えながら応対したりすると、その様子は不思議なくらい声に乗って相手に伝わっています。注意しましょうね。
分からないことをわからないままにしない
事前のお打ち合わせの時にも、「分かりません、教えてください」「お調べします」ということがなかなか言えませんよね、勇気がいりますね・・・でも「分からないことを伝えること大事ですよね」ということを話していました。
実はこの「分からないことを分からないままにしない」ということ、そして相手の内容を「~~ということですよね」と要約して確認することは、とっても難しく、勇気がいることなのです。この為、つい「分かりました!」と分かったふりをしてしまう・・・なんてこと、皆さん経験ありませんか?
このことは実はビジネスの上でとっても大切なことなのです。
「分からない」ということは本当に勇気がいります。分からないことを伝えることで、「なんだこんなこともわからないのか」と低く評価され、自分自身を頼ってもらえないのではないか、若いから馬鹿にされるのではないか、という不安もあると思います。
しかし皆さんが相談したい側だとすると、「分かったふりをする人」と、「分からないから教えてくださいという人」と、どちらが信頼できるようになるでしょうか?
自分のことを理解しようとして、一生懸命話を聴き、調べて学ぼうとする人の方が、物事に真摯に向き合っている姿勢がつたわり好印象となるのではないでしょうか?
おわりに~講師からのメッセージ~
今回、講師の吉原先生はたくさんの体験談をお話ししてくださいました。
「それってあるある!」「そんなこと言われたらいやだよね」というような残念な対応や、
お菓子の販売一つであっても「こうやって食べたらおいしいですよ。やってみてください!」というように、ちょっとした日常会話の中で素敵なメッセージを受け取ることもあるというお話しの中から、
日常会話の中でも、「受けてうれしい応対」や「いやだった経験」は反面教師として、自分自身を磨いていくヒントがたくさん転がっていることに改めて気づき、感度を上げていかないといけないな、と反省しつつ、深く心に刻む研修でした。
その中でも、「敬語はほどほどでも、たっぷりと心を込めて」という言葉が印象的でした。
難しい敬語表現をしようとして舌を噛みそうになり、その結果二重敬語や尊敬語と謙譲語が入交っておかしな表現になってしまうよりも、相手のことを考え、シンプルで丁寧な言葉で相手にとってうれしくなるような応対をすることが重要で、信頼関係は深めることができ、心に残る人、相談してみたいと思える人になれるんだな、ということを再認識し、同時に自分自身を振り返る時間となりました。
我々の職場では、仕事の内容も専門性が高く、そういった意味では医療機関も同じかもしれません。
何となく慣れてくると自分ひとりで仕事をしている、私がやらないとダメだというような錯覚を覚えることもあるでしょう。しかしながら、専門職であっても自分ひとりで仕事を完結することはできません。会社(医療機関)全体で力を合わせてゴールを目指しているのではないでしょうか?
人は様々なコミュニティの中で生きています。その時々に言葉を選ぶこと、そして「その言葉のチョイスは相手との距離感にある」というお話しも、印象に残っています。また、SNSのチャットやメールが多用される現代ではありますが、その特性を踏まえ「伝わるかな?どうかな?」という微妙なことやお断りせざるを得ないことは、勇気を出して対面で話をすることの大事さ、そしてちゃんと受け取っている(聴き取っている)かどうか、確認しながら話を「聴く」という姿勢や日常の様々なことが「私の経験値」となり、信頼を得ていく上ではとても大事なことであることを改めて感じさせていただいた2時間・・・心に残る研修でした。講師の吉原美保先生ありがとうございました!
皆さんの医療機関でも、一度「形」重視ではない「心に響く接遇研修」を受けて見られませんか?
【講師紹介】 R6.11.21確認
株式会社リエゾン 代表取締役 吉原美保先生 ⇒Webサイトは(こちら)をご覧くださいませ。
講師プロフィール
1999年から北九州・福岡を拠点にブライダルや企業パーティーなど、MCとして活動。
並行して2004年以降、電話応対、接遇、コミュニケーションなど講師として研修にも携わる。
現在は、司会のキャリアを生かした独自の研修スタイルで、新入職員研修、人財育成、接遇研修
等幅広く活動中。
指導のモット―:「上手な応対より、温かみのある応対。
マニュアルの実践より、お客様が喜ぶ接客。」
2024年11月21日
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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