
即時通知のデメリットとその最適な活用法
赤嶺 奈美
DX推進「DXに取り組んでいるものの、なかなか成果が出ない。」「社内のデジタル化や業務効率化が進んでいない。」こうした悩みを抱える企業は少なくありません。
DX推進において「情報共有の最適化」は重要ですが、単に便利なツールを導入すれば解決するわけではありません。むしろ、運用ルールが不十分な状態でツールを活用すると、かえって生産性が低下することがあります。
その代表例が「即時通知」です。適切に運用すれば業務の効率化に寄与しますが、乱用すれば通知の氾濫を招き、業務の妨げになりかねません。
本コラムでは、即時通知のメリットとデメリットを整理し、より効果的に活用するためのポイントを解説します。
今回のテーマは「即時通知のデメリットとその最適な活用法」です。
便利なはずの即時通知が、逆に業務を妨げる?
近年、業務ツールの進化により、多くのシステムに通知機能が標準搭載されるようになりました。また、RPA(ロボティクスプロセスオートメーション)を活用し、業務プロセスに自動通知を組み込む企業も増えています。
例えば、以下のような通知は、多くの企業で日常的に活用されています。
- 担当者がタスクを完了した際に通知
- システム上での承認が完了した際に即時通知
- ファイルが指定フォルダに保存されたときに自動通知
しかし、その一方で、「通知が多すぎて重要な情報が埋もれる」「必要な通知を見逃す」といった問題も発生しています。
通知は便利な機能ですが、適切な運用ルールがなければ、生産性を低下させる原因となるのです。例えば、以下のような問題が起こります。
- 通知が氾濫し、重要な情報が見落とされる
- 「また通知か」と思い、ついスルーしてしまう
- 緊急性のない通知が即時通知として扱われるため、優先順位が混乱する
こうした問題の根本的な原因は、「ツールの選択」ではなく、「通知の運用ルールが適切に整備されていないこと」にあります。
即時通知 vs リマインド通知:適切な使い分けがカギ
通知は大きく 「即時通知」 と 「リマインド通知」 に分けられます。それぞれの特性を理解し、組織として適切に使い分けることが重要です。
① 即時通知
- 何かが発生した瞬間に送信される通知
- 緊急性が高く、迅速な対応を促す
- 例:システム障害発生、重要な承認依頼
▼注意点
緊急度の低い事柄まで即時通知にすると、通知の価値が低下します。組織として「どのレベルの情報を即時通知とするか」を明確に定めることが必要です。
② リマインド通知
- 定期的に送信される通知
- タスクの抜け漏れ防止、業務のルーチン化に役立つ
- 例:未完了のタスク通知、定例会議のリマインダー
▼注意点
リマインド通知の頻度や内容を適切に管理しないと、形骸化してしまいます。「必要なタイミングで必要な人に届く」ように設計することが重要です。
通知の最適化:組織としてのルール作りが成功のカギ
通知は、受け取る側の業務スタイルや優先順位に合わせて最適化することが重要です。
そのために、組織として以下のような運用ルールを定めることが推奨されます。
- 通知の重要度を「必須」「推奨」「任意」に分類し、ルールを明確化する
- 受信頻度やタイミングを調整できる仕組みを設ける
- 通知を一元管理し、後から簡単に検索・参照できる環境を整える
こうしたルールを社内で検討し、適切に運用することこそが、DXの成功につながるのです。
即時通知は、適切に運用すればDX推進の強力な武器となります。しかし、運用ルールが不十分だと、かえって生産性を低下させる要因になります。
- 「即時通知」と「リマインド通知」を適切に使い分ける
- 受信する通知の種類や頻度を最適化する
- ツールの導入だけでなく、組織としてのルールを定める
DXの成功には、ツールよりも「適切なルール」と「組織の運用」が欠かせません。
「通知の便利さ」に潜むリスクを理解し、業務の生産性を最大化するための運用ルールを、組織でしっかりと検討しましょう。
2025年2月7日
著者紹介
- DX推進支援部 ICT活用推進課
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